健保ニュース
健保ニュース 2024年2月上旬号
マイナ保険証の利用促進へ
保険局長通知 利用率の目標設定など要請
厚生労働省保険局は、医療保険者等が加入者のマイナ保険証の利用率を目標設定することなどを「マイナ保険証の利用促進に向けたさらなる取り組み」と位置づけ、1月24日付で健保組合など医療保険者関係団体に協力要請を通知した。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、関係法令にもとづき、12月2日から現行の健康保険証の新規発行を終了し、健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカードを基本とする仕組みに移行する。
他方、マイナ保険証の利用率は直近の12月で約4.3%にとどまる。移行を見据え、利用促進を図ることは喫緊の課題とされ、デジタル社会における質の高い医療の実現に向け、国が先頭に立ち、医療機関・薬局、医療保険者等、経済界等が一丸となって取り組みを進める方針が示されている。
これを踏まえ、通知は、マイナ保険証の利用促進には、医療機関・薬局の環境整備や患者への声かけが重要とする一方、受診等の前にあらかじめマイナ保険証のメリットを加入者に理解してもらえるよう、医療保険者等・事業主による働きかけを行うことも効果的であると明記。
医療保険者等によるさらなる取り組みとして、①利用率の目標設定②限度額適用認定証を契機とした利用勧奨③あらゆる機会を通じた利用勧奨─を実施事項として示し、2月26日までにデジタルPMOに掲載するアンケートへの回答を通じて報告するよう要請した。
①は、PDCAサイクルでの運用を進める観点から、加入者のマイナ保険証の利用率について現状に応じた具体的な目標を設定する。
利用率は、分子を「マイナ保険証によるオンライン資格確認の利用人数」、分母を「各医療保険者等で受け付けたレセプト枚数(外来レセのみ)」と定義。
後期高齢者支援金の加算・減算制度の総合評価を見直し、本年11月時点のマイナ保険証の利用率が50%を超えた場合に加点対象となることも踏まえ、現行の健康保険証の新規発行が終了する12月2日に向け、まずは11月時点の目標を設定し、5月、8月時点の目標値を現状に応じ段階的に設定するよう求めた。
②は、マイナ保険証を利用することで、高額療養費制度の限度額適用認定証の申請・提示が不要になることは患者のメリットとしたうえで、限度額適用認定証の申請場面でメリットを周知することが、移行を促す上で効果的であると明記。
(1)限度額適用認定証の取得申請を案内するウェブページやチラシ等の媒体(2)限度額適用認定証の申請様式(3)限度額適用認定証を交付する際の説明書類─に「マイナ保険証を利用すれば、事前の手続きなく、高額療養費制度における限度額を超える支払いが免除されます。限度額適用認定証の事前申請は不要となりますので、マイナ保険証をぜひご利用ください」といった趣旨の文言を用いて周知するよう求めた。
(1)は2月26日までに対応を完了し、(2)(3)は原則6年度から対応するよう、予算の確保を含めた対応を求めた。
また、限度額適用認定証は、患者のメリットを追記した様式改正を行い、6年度中に適用する予定を示した。
③は、②のほか、各種資料・デジタル広告を活用し、▽事業主との連携による電子メールやチラシ等、医療費通知等を活用した利用勧奨などプッシュ型の利用勧奨▽ウェブページや利用の手引き等への掲載によるプル型の利用勧奨▽保健事業の実施時─等医療保険者等が加入者と接するあらゆる機会を通じ、マイナ保険証の利用促進のための利用勧奨を積極的に行うよう要請した。