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健保ニュース 2024年2月上旬号

健保連・第526回理事会
正念場の年に組織挙げ対応
宮永会長効率的な制度実現へ邁進

健保連は1月25日、第526回理事会を開き、令和6年度事業計画や一般会計予算などを審議し、了承した。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、団塊の世代がすべて後期高齢者となる「2025年問題」を来年に控え、さらなる医療費の増嵩や拠出金の増加など「健保組合2025年問題」とも言える本年は、「まさに正念場の年だ」と指摘。2025年にかけ多くの健保組合が保険料率を引き上げざるを得ない状況が見込まれるなか、国民皆保険を支える健保組合の解散を防ぐためには、「支え手である現役世代の負担を抑え、全世代で公平に負担する制度へ変えていく必要がある」と強調し、組織を挙げて対応していく考えを示した。健保組合にとって厳しい情勢が続くなか、「これまで以上に保険者機能を発揮し、われわれの存在感や価値を高める取り組みが欠かせない」と言及。健保連会長として会員組合と力を合わせ、公平で納得できる効率的な制度の実現に邁進していくとの決意を表明した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




新年はじめの理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 まず、令和6年能登半島地震、そして羽田空港における事故により犠牲となられた方々のご冥福をお祈りし、ご家族ご関係の皆さんにお悔やみを申し上げる。

被災された多くの方々の苦難に心からのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げる次第だ。

海外の状況も、長引くロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化など、今までの国際秩序が大きく揺らぎ、分断化が進んでいる。

そうしたなかで、本年は米国大統領選挙など、世界の国々のリーダーが選ばれる「選挙イヤー」とも呼ばれる年になっている。

不確実で混沌とした世界情勢のなかでも、各国首脳が利害を超えて一致点を見出す努力を続け、世界をより良い方向に導くものになってほしいと強く願う次第だ。

一方、国内に目を向けると、われわれ健保組合にとっても、本年は昨年成立した全世代型の社会保障制度改革が本格施行される年であるとともに、いわゆる「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる「2025年問題」を来年に控え、さらに医療費の増嵩、拠出金の増加、そして医療DXの本格稼働に向けて、「健保組合2025年問題」とも言える、まさに「正念場の年」でもある。

これまでの改革では、一定以上の所得のある高齢者の2割負担や後期高齢者の保険料負担の見直しなどが盛り込まれたが、現役世代の負担軽減を図るには十分な内容とはなっておらず、まだまだ多くの課題が積み残されていることは承知の通りだ。

また、医療費はコロナ禍前を大きく上回る伸びが続き、拠出金の増加もあり、皆さんの組合でも、来年度予算編成にあたり、非常にご苦労されていることと思う。

年明けに、いくつかの健保組合の方とお話をする機会をいただいたが、「来年度は大幅に保険料率を引き上げざるを得ない」との厳しい状況を伺った。

2025年にかけては、さらに多くの健保組合が料率を引き上げざるを得なくなるのではないか、健保組合の存続が危ぶまれる状況に陥るのではないかと、大変憂慮している。

国民生活の安心の礎である国民皆保険制度は、世界に類を見ない、万人に等しく温かい制度であり、確実に将来世代に残していかなければならず、皆保険を支える基盤としての健保組合の解散はなんとしても防がなければならない。

そのためには、支え手である現役世代の負担を抑え、全世代で公平に負担する制度へ変えていく必要がある。

目前に迫った「2025年問題」に、組織を挙げて対応していかなければならないと改めて強く感じている。

また、今年の12月2日には保険証が廃止され、いよいよマイナンバーカードと保険証の一体化の動きが本格化する。

これまでのデータの登録・確認の段階から、マイナ保険証の利用促進という次のフェーズに移行することになる。

オンライン資格確認等システムは、医療DXの基盤となるものであり、質の高い医療の提供、医療の効率化・重点化につながる、大変重要なインフラだ。

健保連としては、まずはマイナ保険証の利用促進に向けて、健保組合の皆さんとともに、事業主や加入者への働きかけを行いながら、政府や経済団体、医療関係団体とも一丸となってより多くの方々に自らの健康状況が常に確認でき、個人に合った医療サービスの質の向上に繋がるという、マイナ保険証のメリットをしっかりと理解していただき、普及が進むように周知活動を積極的に進めていく。

マイナ保険証関係への助成や、過重な拠出金負担に苦しむ健保組合への必要な補助を獲得できるよう、ロビー活動を含めたアピールも積極的に行っていく。

また、来年度は、診療報酬・介護報酬の改定に加え、第3期データヘルス計画、第4期特定健診・特定保健指導などの重要な政策が相次いで始まる。

健保組合にとって大変厳しい情勢が続くが、であればこそ、これまで以上に保険者機能を発揮し、われわれの存在感や価値を高める取り組みが欠かせない。

私も健保連会長として、持続可能な制度の構築に向けて、会員組合の皆さんと力を合わせ、公平で納得できる効率的な制度の実現に邁進していく。

理事の皆さんにおかれても、引き続きのご支援、ご協力をお願い申し上げる。
 本日は、令和6年度の事業計画および各会計の予算案を諮る。理事の皆さんの活発な審議をお願いして、私のあいさつとする。

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