健保ニュース
健保ニュース 2024年1月新年号
マイナ情報総点検の結果受け
岸田首相 健康保険証を来秋廃止
マイナ保険証への移行表明
岸田文雄首相は、12月12日に開催された「マイナンバー情報総点検本部(本部長・河野太郎デジタル相)」で、現行の健康保険証を来秋に廃止し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する方針を改めて表明した。
「健康保険証情報」をはじめ、11月末までにマイナポータルで閲覧可能となっている全データを総点検した「マイナンバー情報総点検の実施結果」を踏まえた対応。保険証廃止後も最大1年間は使用可能とするほか、マイナ保険証を保有しない者に「資格確認書」を発行する。
政府は6月21日、マイナンバーと制度固有番号との紐付け誤りが生じている事態を踏まえ、マイナポータルで閲覧可能な情報を有するすべての制度等に対し、正確な紐付けの点検を目的としてデジタル庁に「マイナンバー情報総点検本部」を設置。11月末までに個別データの点検を行い、紐付け誤りを可能な限り解消してきた。
この日の会合では、デジタル庁が、「マイナンバー情報総点検の実施結果」を報告した。
全体の点検結果をみると、点検対象8208万件のうち、本人確認作業が終了した件数(割合)は8206万件(99.9%)、紐付け誤りのあった件数(同)は8351件(0.01%)だった。
このうち、「健康保険証情報」の紐付け誤りは1142件で、点検対象の1571万件に占める割合は0.007%。閲覧された件数(薬剤情報等)は9件となる。
このほか、令和3年10月から5年11月30日までの間に7553件の紐付け誤りを確認したが、いずれも既にすべての紐付け誤りを解消しているとした。
デジタル庁は、総点検終了後も、新規の紐付け誤りを防止するため、申請時や更新時といった本人確認の際にマイナンバーカードの券面等の番号確認(申請書などにマイナンバーの記載がなかった場合は住基ネット照会)を行うなど、マイナンバー確認を徹底する方針を明示。
厚生労働省は、マイナ保険証の不安払拭に向けたその他の取り組み状況を報告した。
健康保険証は、保険者による総点検のほか、医療情報という特性があることを踏まえ、入念に登録済みデータ全体について住民基本台帳との突合による確認を実施し、11月までに突合を完了。
住民基本台帳との突合の結果、不一致があったデータのうち、先行して保険者等による確認を行った試行実施分(5保険者・加入者約146万人を対象)で検知された誤登録は17件(全体の0.001%)となる。
試行実施分以外の不一致データ(約139万件)について、不一致の内容に応じて情報の閲覧を停止。現在、保険者等による確認を実施中で、来春を目途に作業を終える見通しを示した。
このほか、オンライン資格確認と保険証の負担割合等の相違事案への対応として、事務処理誤りやシステムの仕様による負担割合等の表示誤りを防ぐため、保険者システムの回収を原則として今年度中に実施し、来夏までに、オンライン資格確認で負担割合等が正しく表示されているか定期的に保険者がチェックする仕組みを導入するとした。
「マイナンバー情報総点検の実施結果」を受け、岸田首相は、「総点検完了のめどが立ったことが確認できた」と発言。マイナ保険証への移行に際しては、健康保険証の廃止後も最大1年間は現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない者に「資格確認書」を発行すると説明した。
デジタルとアナログの併用期間をしっかり設け、すべての者が安心して確実に保険診療を受けられる環境を構築するとともに、マイナ保険証の円滑な利用に向けマイナンバーカードの改善を進めると言及。
そのうえで、「こうした国民の不安払拭のための各般の措置の進捗状況を踏まえ、法令にもとづき予定どおり現行の健康保険証の発行を来年秋に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する」との方針を改めて表明した。
マイナ保険証は、患者本人の薬剤や診療データにもとづくより良い医療など、患者・医療現場にとって多くのメリットがあり、電子処方箋や電子カルテの普及・活用にとっても核となる、日本の医療DXを進めるうえでの基盤と強調。
国民がマイナ保険証を使用し、より質の高い医療などのメリットが感じられるよう、医療機関や保険者とも連携し、利用促進の取り組みを積極的に行っていく意向を示した。