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健保ニュース 2024年1月新年号

介護利用者2割負担は先送り
長期収載品保険給付 6年10月から範囲見直し

財務、厚労両大臣の折衝では、全世代型社会保障の実現に向けた医療・介護制度改革についても合意した。

医療制度改革では、長期収載品の保険給付のあり方の見直しとして、選定療養の仕組みを導入し、▽後発医薬品の上市後5年以上経過した▽後発品の置換率が50%以上となった─長期収載品を対象に、後発品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象とした。

患者が選定療養として負担する額は長期収載品と後発品の価格差の4分の1となり、長期収載品が500円で後発品が150円と250円のケースでは、患者の負担額(3割負担)はそれぞれ70円、50円増える。

約700成分が対象となり、令和6年10月から施行。医療費ベースで、6年度に▲180億円、7年度に▲420億円の財政効果額を見込む。イノベーションのさらなる評価等に充当する。

このほか、薬剤自己負担の見直し項目である▽薬剤定額一部負担▽薬剤の種類に応じた自己負担の設定▽市販品類似の医薬品の保険給付のあり方の見直し─について、引き続き検討を行う方針を示した。

介護制度改革では、利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直しについて、改めて総合的かつ多角的に検討を行い、9年度から開始される第10期介護保険事業計画期間の前までに結論を得る対応を決定。利用者2割負担への見直しを再度、先送りした格好となった。

今後は、①直近の被保険者の所得等に応じた分布を踏まえ、一定の負担上限額を設けずとも、負担増に対応できると考えられる所得を有する利用者に限って、2割負担の対象とする②一定の負担上限額を設け、①よりも広い範囲の利用者を2割負担の対象としたうえで、負担上限額のあり方について10年度までに必要な見直しの検討を行う─と明記。

介護保険における負担への金融資産の保有状況等の反映のあり方や、きめ細かい負担割合のあり方と合わせ、早急に検討を開始するとした。

介護老人保健施設および介護医療院の多床室の室料負担については、一部の施設(老健施設では「その他型」および「療養型」、介護医療院では「Ⅱ型」)について、新たに室料負担(月額8千円相当)を導入する。

社会保険負担軽減の効果
前期報酬調整の負担控除

他方、「こども未来戦略」における「実質的な社会保険負担軽減効果(2028年度までに1兆円程度を確保)」については、歳出改革(薬価改定等)による社会保険負担軽減額から医療介護の制度改正による追加的な社会保険負担額を控除して、毎年度の予算編成・制度改正による社会保険負担の増減効果を算定する考えを示した。

能力に応じた全世代の支え合いの観点から実施する「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」にもとづく「前期財政調整における報酬調整(1/3)の導入」等の結果として生じる追加的な社会保険負担額については控除して算定。

この結果、2023年度と2024年度における「実質的な社会保険負担軽減効果」は0.33兆円程度(2023年度分0.15兆円、2024年度分0.17兆円)と見通し、2025年度から2028年度までの算定方法は、「改革工程」の項目を実施することによる社会保険負担軽減効果の算定を含め検討するとした。

このほか、社会保障・税一体改革の一環として実施する社会保障の充実については、公費2兆7987億円(消費税増収分のうち消費税率1%分の税収相当)を措置し、前年度と同額の既存措置や看護・介護職員の賃上げ等の経費を賄う。

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