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健保ニュース 2024年1月新年号

6年度予算財務・厚労大臣合意
診療報酬本体 改定率は実質0.18%
処方箋料等の再編で適正化も

鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相は12月20日、令和6年度政府予算編成の重要事項について折衝し、今夏の概算要求時点で5200億円と見込んだ社会保障関係費の実質的な伸びについて、高齢化による増加相当分の3700億円程度(年金スライド分除く)におさめることを合意した。

薬価のマイナス改定(国費▲1200億円程度)などの改革努力で、1500億円程度を抑制した。

6年度の診療報酬は医療機関や薬局の経営原資となる「本体」が0.88%(国費800億円程度)、「薬価」が▲0.97%(同▲1200億円程度)、「材料価格」が▲0.02%(同▲20億円程度)の改定率に決まった。

診療報酬と材料価格は6年6月、薬価は6年4月に施行する。
 全体で差し引き▲0.12%程度のマイナス改定となり、2年に1度の診療報酬改定では、平成28年度以降、5回連続の引き下げとなる。

診療報酬の「本体」は、4年度改定の「0.43%(実質0.23%)」の改定率に比べ、増加幅が0.45ポイント拡大する。

内訳は、①40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分0.28%程度②看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種(①を除く)について、令和6年度にベア2.5%、7年度にベア2.0%を実施していくための特例的な対応0.61%③入院時の食費基準額の引き上げ(1食当たり30円)の対応(患者負担は原則、1食当たり30円、低所得者は所得区分等に応じて10~20円)0.06%④生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化▲0.25%─で、①~④を除いた部分の実質的な「本体」の改定率は0.18%となる。

この0.18%と①の0.28%の合計0.46%の各科改定率は、技術料の割合に応じた配分(医科1.0、歯科1.1、調剤0.3)を踏まえ、医科0.52%、歯科0.57%、調剤0.16%とした。

③のうち、患者負担(1食当たり30円)と低所得者の負担(1食当たり10~20円)の差額について厚労省は、保険給付部分で対応する意向を示した。

④は、生活習慣病管理料の算定要件(少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理等)見直しや特定疾患療養管理料との再編のほか、リフィル処方箋の導入・活用を促進する観点からの処方箋料の見直しなどの対応を視野に入れる。

薬価の改定率は、5年9月の市場実勢価格調査にもとづく既存制度での対応分で、▽イノベーションのさらなる評価として革新的新薬の薬価維持、有用性系評価の充実等への対応▽急激な原材料費の高騰、後発医薬品の安定的な供給確保への対応として、不採算品再算定に係る特例的な対応(約2000品目程度を対象)─を含む。

材料価格の改定率は、5年5~9月取引分を集計した材料価格調査で一定幅(4%)を下回る平均乖離率(約2.5%)となっていたため、医科の材料価格の平均乖離率のみで計算した。

このほか、診療報酬・薬価等に関し、良質な医療を効率的に提供する体制の整備等の観点から、▽医療DXの推進による医療情報の有効活用等▽調剤基本料の適正化─の事項について、中央社会保険医療協議会の議論も踏まえ制度改革を着実に進める方針を盛り込んだ。

また、医療現場で働く者のベースアップへと確実につながるよう、配分方法の工夫を行うほか、今回の改定による医療従事者の賃上げ状況や食費を含む物価動向、経営状況等の実態を把握するとした。

介護報酬は1.59%
障害報酬は1.12%

令和6年度の介護報酬改定は、介護現場で働く者の処遇改善を着実に行いつつ、サービス毎の経営状況の違いも踏まえたメリハリある対応を行うため、改定率は全体で1.59%(国費432億円)とした。改定率は、3年度の0.7%から0.89ポイント増となる。

介護職員の処遇改善分として、0.98%を措置(6年6月施行)したうえで、賃上げ税制を活用しつつ、介護職員以外の処遇改善を実現できる水準として、0.61%を措置。

このほか、改定率の外枠として、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や、光熱水費の基準費用額の増額による介護施設の増収効果を加えると、0.45%相当の改定となる見込みを示した。

他方、6年度障害福祉サービス等報酬改定は、障害福祉分野の人材確保のため、処遇改善を行うとともに、経営実態を踏まえたサービスの質等に応じたメリハリある報酬改定を実施。改定率は全体で1.12%(国費162億円)とした。3年度の0.56%から倍増となる。

改定率の外枠で処遇改善加算の一本化の効果等があり、それを合わせれば改定率1.5%を上回る水準となると見通した。

介護、障害福祉サービス等とも、今回の報酬改定では、処遇改善分について2年分を措置。3年目の対応は処遇改善の実施状況等や財源とあわせ、8年度予算編成過程で検討するとした。

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