健保ニュース
健保ニュース 2023年12月中旬号
社保審医療保険・医療両部会
6年度診療報酬改定の基本方針を決定
制度の安定・持続可能性を向上
社会保障審議会の医療保険・医療両部会は8日、それぞれ会合を開き、令和6年度診療報酬改定の基本方針案を大筋で了承。その後、両部会での意見を踏まえて部会長間で最終調整を行い、11日、両部会連名による基本方針を決定した。
6年度改定の基本方針は、▽物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応▽全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応▽医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現▽社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和─を改定に当たっての基本認識として明示。
そのうえで、①現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進【重点課題】②ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進③安心・安全で質の高い医療の推進④効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上─を基本的視点とし、具体的な方向性を例示した。
重点課題に位置づけた①は、「医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取り組み」を具体的方向性としたうえで、「令和4年度に実施した看護職員の処遇改善にかかる取り組みや5年11月の経済対策も踏まえつつ、医療従事者の賃上げに向けた取り組みを推進」と明記。
②は、具体的方向性として、▽医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進▽かかりつけ医機能の評価─などを例示し、「医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進」は、「マイナ保険証を活用した、質が高く効率的な医療の提供や、電子処方箋の普及等を通じて、医療連携の取り組みを推進」するとした。
また、「かかりつけ医機能の評価」は、「かかりつけ医機能を担う医療機関が地域の介護支援専門員や介護サービス事業者と顔と顔の見える関係性を構築し、有機的な連携を行うことを推進」と記載した。
③は、「患者の状態にも応じた質の高いリハビリテーションの評価など、きめ細かいアウトカムにも着目した評価を推進」する「アウトカムにも着目した評価の推進」を具体的方向性の例として盛り込んだ。
④は、▽長期収載品の保険給付のあり方の見直し等▽医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取り組みによる医薬品の適正使用等の推進─などを具体的方向性として例示した。
このうち、「長期収載品の保険給付のあり方の見直し等」は、「医療保険財政のなかでイノベーションを推進するため、長期収載品の保険給付のあり方の見直しとともに、経済性に優れた医療機器等の診療報酬上の評価や患者が自ら使用するプログラム医療機器等の保険適用のあり方について検討」と明記。
また、「医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取り組みによる医薬品の適正使用等の推進」は、「重複投薬、ポリファーマシー、残薬や、適正使用のための長期処方のあり方への対応、リフィル処方箋の活用等、医師および薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全で有効な使用を促進」するほか、「医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方を推進」する方向性を示した。