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健保ニュース 2023年11月下旬号

かかりつけ医機能の評価を議論
松本理事 外来管理加算の廃止を主張
診療側「暴論で容認できない」

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)総会は10日、令和6年度の次期診療報酬改定に向け、「外来医療」をテーマに議論した。「外来医療」の議論は、6月21日、11月8日に続き3度目となる。

この日の会合では、厚生労働省が、①外来医療にかかる現状②かかりつけ医機能にかかる評価─等の課題と論点を提示した。

①は、紹介状なしで受診した患者からの受診時定額負担にかかる4年度改定の影響および紹介受診重点医療機関の公表状況を踏まえ、外来機能の分化・連携をさらに推進することを論点とした。

4年度改定では、紹介状なしで大病院を受診した患者から定額負担を徴収する義務がある病院の対象に「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」を追加。また、定額負担の対象患者の診療にかかる保険給付範囲と定額負担額も見直した。

改定後の状況をみると、初診時に紹介状なしで受診した患者の割合は義務化対象施設で4.3ポイント減少。紹介受診重点医療機関は5年10月1日時点で930施設が公表され、うち110施設は200床未満だった。

②は、▽主治医と介護支援専門員双方向のコミュニケーションを促す対応▽文書交付による患者への適切な説明を推進するための方策▽特定疾患療養管理料の評価のあり方▽地域包括診療加算、特定疾患療養管理料、外来管理加算、生活習慣病管理料等の併算定の関係─などを論点とした。

このうち、併算定の関係では、「生活習慣病管理料を算定した同日に外来管理加算を算定している割合は94.6%」、「特定疾患療養管理料を算定した同日に外来管理加算を算定している割合は89.4%」などの課題が例示された。

健保連の松本真人理事は、外来医療にかかる現状を踏まえ、「月2回以上の受診に対する診療報酬上の評価は見直すべき」と言及し、「症状が安定した患者は2~3か月に1回の受診という形態を医師による適切な治療計画のもと普及させていくとともに、リフィル処方箋の活用も合わせて推進すべき」との考えを示した。

そのうえで、論点①については、受診時定額負担の義務化対象から除外されている200床未満の紹介受診重点医療機関が110施設と公表されていることを踏まえ、さらなる外来機能の分化・連携に向けた対応を検討するよう求めた。

論点②の「主治医と介護支援専門員双方向のコミュニケーションを促す対応」については、「サービス担当者会議は医療と介護の関係者間の真の連携を推進するための仕組み」として、サービス担当者会議の参加実績をかかりつけ医機能にかかる評価の要件に追加するよう要望。

また、「文書交付による患者への適切な説明を推進するための方策」については、医療法改正にもとづく「かかりつけ医機能を発揮するための制度整備」も視野に入れ、病状や治療などに関する書面での説明を義務化すべきとの見解を示した。

「特定疾患療養管理料の評価のあり方」については、「計画書を用いた患者への説明が求められておらず、生活習慣病管理料に比べ、専門的な管理が適切に行われるか懸念がある」と発言し、現行の算定要件のまま評価を継続することに反対した。

「地域包括診療加算、特定疾患療養管理料、外来管理加算、生活習慣病管理料等の併算定の関係」については、「外来管理加算は基準が非常に曖昧な条件のみで算定可能であり、評価の妥当性に非常に疑問を持っている」と問題提起。

さらに、「外来管理加算が特定疾患療養管理料、生活習慣病管理料、地域包括診療加算と併算定できる構造は保険者のみならず、患者も理解しがたいと言わざるを得ない」と指摘し、外来管理加算の廃止を強く主張した。

これに対し、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「外来管理加算の廃止という暴論は、絶対に容認できない」と憤りを露わにしたうえで、「詳細な診察や丁寧な説明という医療行為を全否定する主張」として強く批判。

各診療報酬点数は、設定時の目的や趣旨をはじめ、その後、何度も検討を重ねて修正してきた歴史があることへの理解を求めた。

松本理事は、「かかりつけ医機能を発揮するための制度整備の議論が進められているなか、同機能の評価を整理することが重要」と強調。従来通りの対応には承服しかねると応じた。

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