健保ニュース
健保ニュース 2023年11月上旬号
薬価部会が新創加算テーマに議論
累積額控除の時期が論点に
中医協の薬価専門部会は10月18日、令和6年度の次期薬価改定に向け、新薬創出・適応外薬解消等促進加算をテーマに2巡目の各論の議論を開始した。
厚生労働省はこの日の会合に、新薬創出等加算に関する検討事項として、①企業要件・企業指標②品目要件③加算の計算式/乖離率④控除の時期─を設定。これらに、新薬である期間中の価格、後発医薬品収載後の価格のあり方を加えた5項目に対する論点を示した。
このうち①は、特に医療系ベンチャーや多くのスタートアップ企業で、加算が大きい「企業区分Ⅰ」の対象とならずに薬価が維持されにくい現状を論点とした。
②は、真に革新性・有用性のある医薬品の範囲を広げること、③は、区分Ⅰでも薬価が維持されない場合があることや、平均乖離率を超える品目の取り扱いを論点として提案。
④は、これまで受けた新薬創出等加算の累積額を控除する時期を論点とした。
論点①について、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「ベンチャーやスタートアップ企業を無条件で企業区分Ⅰとすることは少し飛躍がある」と指摘した。
健保連の松本真人理事も、「ベンチャーだからという理由だけで一律に企業区分Ⅰとすることが果たして妥当なのか」と疑問を呈し、長島委員の意見に同意した。
また、論点②に対し、「評価と適正化はセットで議論すべき」として、④とセットで検討する必要性を強調。
論点③は、「少なくとも平均乖離率を超える品目の場合、値引き販売されていることが明らか」と言及し、「薬価を維持する妥当性は乏しい」と主張した。
論点④は、後発品が上市された場合に速やかに先発品の市場を譲るという基本的な観点から、「年2回の後発品収載時に累積額を控除することが最も公平」との考えを示し、「少なくとも毎年の薬価改定時に累積額を控除することは特許期間中に新薬の薬価引き下げを猶予する条件だ」と強く訴えた。
長島委員は、薬価の中間年改定における累積額控除の時期は慎重な検討が必要と発言した。