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健保ニュース 2023年10月中旬号

加入者の住民票上の住所情報
12月から 健保組合の把握を必須化

厚生労働省は、9月29日の社会保障審議会医療保険部会に、①訪問看護におけるオンライン請求・オンライン資格確認の導入②訪問診療等におけるオンライン資格確認(居宅同意取得型)③柔道整復師、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師の施術所におけるオンライン資格確認の導入④オンライン資格確認における登録データの正確性の確保─を提案した。

このうち、①は、訪問看護ステーションで、令和6年6月よりレセプトのオンライン請求とオンライン資格確認を開始。また、6年秋の健康保険証廃止を見据え、オンライン請求・オンライン資格確認を義務化する一方、保険証の廃止時点でやむを得ない事情がある場合は、期限付きの経過措置を設ける。

また、③は、受領委任払いを行っている施術所において、6年4月以降、資格確認の方法に「オンライン資格確認」を位置づけるとともに、健康保険証を廃止する6年秋以降、導入を義務化する。

他方、④は、新規データの正確性を確保し、本人にかかる事務処理を円滑に進めるため、今後、省令を改正し、すべての健保組合が加入者の住民票上の住所情報を把握することを原則とすることとした。

省令改正は、▽資格取得時の健保組合による住民票上の住所情報の把握を必須化▽住所変更時は加入者からの届出またはJ-LIS照会で住所情報を取得─する内容をイメージし、12月1日施行を予定する。

併せて、事業主・被保険者に対し、被保険者・被扶養者の住所情報とマイナンバーを提出してもらう旨を周知。現在の加入者は住民基本台帳における直近住所をJ-LIS照会で把握できるため、住所情報を保険者が自ら収集することは求めない。

このほか、厚労省は、患者における一部負担金の負担割合等の相違が判明し、中間サーバー等の負担割合等を修正した事象が5695件だった調査結果を報告した。

内訳は、▽正しい事務処理手順が踏まれておらず、システムで防止する仕組みがなかった事象(4017件)▽事務処理手順に関わらず、システムの仕様の問題により発生する事象(1678件)─。厚労省は、最終的に被保険者は正しい負担割合等で負担したと説明した。

今後の対応として、事務処理誤りやシステム仕様による負担割合等の表示誤りを防ぐため保険者システムを改修(10月以降順次、原則として今年度中に実施)するほか、調査で判明した事例のパターンについて各保険者で点検(11月末目途)。また、負担割合等の表示内容を保険者がチェックする仕組みを来年夏までに導入するとした。

健保連の佐野雅宏副会長は、①について、「事務効率化や質の高い医療を実現するものであり、医療DXの一環として推進する必要がある」との認識を示したうえで、経過措置は真にやむを得ない範囲とするよう訴えた。

また、③は、円滑な導入と導入後の着実な運用のために、個々の課題について早期にスケジュールを定め、丁寧に議論を進めていくよう要請。一方、「あはき療養費は健保組合における受領委任払いが約2割にとどまっている状況にある」と指摘し、柔整療養費と状況が異なる点も踏まえた議論を求めた。

④については、「健保組合では、単身赴任者への対応で、実際の居所住所の取得が必要となるケースがあり、システム改修や運用の変更を伴う」と言及したうえで、システムや電子申請環境の整備、事業主への周知などを厚労省に要望した。

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