HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2023年10月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2023年10月中旬号

健保連・第524回理事会
皆保険制度を次世代に継承
宮永会長 大きな節目に総力挙げ対応

健保連は9月29日、第524回理事会を開いた。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、令和5年度以降、さらなる財政悪化が予想されるなか、健保組合の存続も危ぶまれる事態になりかねないと懸念。後期高齢者の現役並み所得者への公費投入や拠出金負担割合の上限設定など、残された課題への対応に全力で取り組むと強調した。他方、年末に向けて重要局面に差しかかる6年度の政府予算編成や診療報酬と介護報酬のダブル改定など、健保組合の運営にかかわる重要政策の動向を注視し、政治に対して様々な要請をしていく必要があると指摘。われわれの将来を左右する大きな節目を迎えるにあたって、理事、都道府県連合会、本部事務局が総力を挙げて取り組むことが重要と強く訴えた。10月25日に開催する全国大会を健保組合の主張や考え方を内外にアピールする絶好の機会と捉えたうえで、日本の素晴らしい皆保険制度を途絶えさせることなく、将来の世代へ引き継いでいくとの決意を表明した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 さて、猛暑の夏もおさまりつつあり、来週からはいよいよ10月となる。
 ようやく秋の気配を感じる時期になってきたが、このところ、コロナの感染が一定規模で続いていることや、例年より早くインフルエンザが流行の兆しを示してくるなど、心配な状況が続いている。

パンデミックを経験したからこそ、平時から感染症に備える意識が大切であると、再認識しているところだ。

また、10月に入ると、臨時国会や、来年度予算に向けて、政治の動きが一段と高まっていく。

こうしたなか、今月13日に、第2次岸田再改造内閣が発足した。
 内閣改造後の記者会見で、岸田首相は、「経済」、「社会」、「外交・安全保障」の3分野を政策の柱とし、「インフレ下の持続的な賃上げや投資の拡大を加速させる」と力強く述べた。

また、25日には、こうした方針を具体化するため、政府の経済対策の柱を表明した。
 最近の物価高への対応に加え、企業の構造的な賃上げや、投資拡大を後押しする予算、税制改正、人口減少を乗り越えるための社会変革などに取り組むとしている。

岸田首相が就任当初から唱えられている「新しい資本主義」や「全世代型社会保障制度の構築」などを実現するためのまさに大規模な政策パッケージであり、社会保障の安定化にも資する政策であるので、着実に推進していくことを期待している。

丁度、昨日、このたびご就任された武見厚生労働大臣にお会いし、短い時間ではあったが、われわれの思いを伝えてきたところだ。

われわれ健保組合の状況を見ると、令和4年度の決算見込みは、全体で1365億円の経常黒字となった。

収支は前年に比べ2212 億円改善したものの、全体の4割にあたる559組合が依然赤字となっており、厳しい状況が続いていることには、変わりない。

特に、今回の黒字決算は、コロナ禍の受診控えに伴い、高齢者医療費への拠出金が前年度比 マイナス2460億円と大きく減少したことが主な要因であり、これはコロナ禍の間の一時的な現象にすぎない。

今年度の拠出金は、4年度に一旦、減少した反動から、前年度比プラス2500億円も増え、医療費の伸びも、コロナ禍前の水準を大きく上回る状況が現在続いている。

健保連では、5年度の決算は、マイナス3600億円と、再び赤字に転じると予測しており、この傾向は、「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる2025年、高齢化のピークを迎える2040年に向けて、さらに強まっていくものと思う。

令和5年度以降、さらなる財政悪化が予想されるなかで、保険料率の引き上げも限界に達しており、このままでは、健保組合の存続も危ぶまれる事態になりかねないと大変、危惧している。

今年5月には、健保組合の皆さんをはじめ、関係各位のご尽力により、全世代対応型の医療保険制度改革関連法が成立した。

現役世代の負担軽減に資する施策や健保組合への財政支援の拡充などが来年度から始まることになるが、われわれの拠出金負担を軽減するには、まだまだ十分とは言えない状況だ。

これまでも主張してきた後期高齢者の現役並み所得者への公費投入や拠出金負担割合の上限設定など、残された課題への対応に全力を上げて取り組みたい。

本日は、来月25日に迫った健保組合全国大会を中心に審議いただく。

今年度は、コロナ禍を経て、4年ぶりに、例年並みの4000人規模で開催する。

全国大会は、われわれの主張や考え方を内外に示す大変重要な場であり、われわれ健保組合の団結力・一体感を示すと共に、その思いを確認・アピールする絶好の機会でもある。

「将来世代が希望を持てる制度へ」、これが今年の全国大会のテーマ案だ。
 誰もが応分の負担で必要な医療を受けることができる日本の素晴らしい皆保険制度を、われわれの世代で途絶えさせることなく、将来の世代へ引き継いでいく必要がある。

今、われわれに求められているのは、現行制度を守るだけでなく、持続可能で、より良い制度として、将来世代に継承していくことであるとの思いから、このテーマを提案した。

また、わが国の喫緊の課題でもある少子化対策とその財源問題、医療DXの推進とマイナンバーカードと保険証一体化にまつわる問題など、われわれが懸念する諸問題についても、組合実務の現場の皆さんの納得感が得られるように取り組み、また、主張していきたい。

最後になるが、今年度もすでに6か月が過ぎ、下半期に入る。
 直近の経済対策などの5年度の補正予算、6年度の政府予算編成も、これから年末に向けて、大変重要な局面に差しかかっていく。

さらに、来年度の「診療報酬・介護報酬」のダブル改定や「データヘルス計画」、「特定健診・特定保健指導」の見直しなど、健保組合の運営にかかわる重要な政策が動いていく。

こうしたプロセスを十分に注視し、政治に対しても必要に応じて様々な要請をしていかなければならない。

われわれの将来を左右する大きな節目を迎えるにあたって、理事各位、都道府県連合会各位、そして本部事務局が総力を挙げて問題に取り組んでいくことが非常に大事だ。

そのためにも、まずは、今年度の全国大会の成功に向けて、皆さんのご支援・ご協力をお願い申し上げ、開会のあいさつとする。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年