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健保ニュース 2023年10月上旬号

制度の安定性・持続可能性へ
介護分科会 多床室の室料負担など議論

社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)は9月15日、令和6年度の次期介護報酬改定に向け、制度の安定性・持続可能性の確保をテーマに介護老人保健施設および介護医療院の多床室の室料に対する利用者負担の導入などを議論した。

この日の会合で厚生労働省は、介護老人保健施設および介護医療院の多床室への室料負担の導入は、4年12月の介護保険部会の取りまとめで、「同分科会で介護報酬の設定等を含めた検討を行い、次期介護保険計画に向けた結論を得る」とされたと説明し、負担の公平性、各施設の機能や利用実態を踏まえた検討を論点として示した。

施設系サービスの居住費については、在宅と施設利用者の負担公平性の観点から平成17年10月に保険給付の対象外とし、個室は光熱水費と室料、多床室は光熱費を利用者負担とした。27年度には、死亡退所が多く事実上の生活の場に選択されている実態を踏まえ、介護老人福祉施設の多床室に一定所得を有する利用者の室料負担を導入した。

なお、令和元年度の死亡退所の状況は、▽介護老人福祉施設69.0%(施設内の死亡は65.1%)▽介護老人保健施設10.6%(同92.9%)▽介護医療院52.2%(同100%)─となっている。

健保連の伊藤悦郎常務理事は、介護老人保健施設の平均在所日数が300日以上あることや介護医療院の長期療養・生活施設の位置づけから、「両施設で多床室の室料相当を基本サービス費から除外し、利用者負担とすべき」との考えを示した。

また、厚労省が論点として提示した報酬体系の簡素化に対し、介護報酬加算の算定状況から、「平均算定率が80%を超えた加算は普及が図られたもの」との見解を示し、「基本サービスに要件として組み込む形で評価し、実績がない・少ないものは精査のうえで廃止を視野に入れた見直しが必要」と言及した。

このほか厚労省は、新型コロナウイルス感染症に関する対応の平時への移行に向けた現在の支援や報酬上の臨時的取り扱いのあり方などを論点として提示。

これに関連し、感染症法上の位置づけ変更後も継続してきた各種施策・措置のうち、「退院患者受け入れ促進」にかかる介護報酬上の特例を10月以降見直し、加算算定可能日数を30日から14日とする案を示し、了承された。今後は、6年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定で恒常的な感染症対応への見直しを行う。

伊藤常務理事は、「実態を踏まえた見直しに異論はない」と述べ、当面継続とされた措置の状況把握、方向性・ルールの見直しなどの早期検討を訴えた。

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