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健保ニュース 2023年8月下旬号

再発防止策や国民の信頼回復へ
政府がマイナの政策パッケージ
岸田首相 11月中の総点検を指示

政府の「マイナンバー情報総点検本部(本部長・河野太郎デジタル相)」は8日、▽総点検に関する中間報告▽再発防止対策▽国民の信頼回復に向けた対応─を柱とする「マイナンバー制度・カードに関する政策パッケージ」を取りまとめた。総点検では、健康保険証の紐付け誤りで異なる個人番号が登録された事例が1069件確認されたと報告。再発防止対策として、省令改正やガイドライン策定などマイナンバー登録事務に関する横断的ルールを策定する。岸田文雄首相は、11月末までに個別データの総点検を実施するよう各大臣に指示。点検作業を行う保険者等の負担に留意するよう要請した。

健康保険証の紐付け誤り
1069件を中間報告

政府の「マイナンバー情報総点検本部」は、6月21日以来となる2回目の開催で、この日の会合では、マイナンバー情報総点検の中間報告・政策パッケージについて議論した。

総点検の中間報告に合わせ、今後の再発防止対策と国民の信頼回復に向けた対応を「マイナンバー制度およびマイナンバーカードに関する政策パッケージ」として取りまとめた。

総点検に関する中間報告は、マイナンバーの紐付け方法にかかる業務実態の調査結果などを公表した。

健康保険証の紐付け誤りは、全3411保険者のうち、1313団体において、総計約1570万件の登録データを対象に総点検を実施し、約1515万件の確認作業を完了。この結果、異なる個人番号が登録された事例として、点検データの約0.007%となる1069件(うち薬剤情報等が閲覧された事例は5件)を確認した。

オンライン資格確認の運用を開始した令和3年10月から5年5月22日までに判明している異なる個人番号が登録された事例は7372件(うち薬剤情報等が閲覧された事例は10件)。中間報告の結果と合わせ、8441件(同15件)となる。

今後、保険者における確認作業を踏まえ、登録済みデータ全体を対象にJ-LIS照会を行い、誤登録の疑いがあるデータについて、本人に送付する等により確認するとした。

個別データの点検が必要と判断された各紐付け実施機関では、原則として秋までに個別データの点検を行っていく方針を明示。総点検を滞りなく進めるとともに、総点検の進捗状況を国民に知らせるべく、デジタル庁で総点検の進捗状況を取りまとめ、概ね月に1度、進捗状況を公表することとした。

総点検実施機関への支援として、紐付け実施機関における点検費用などの負担については、今後調整される具体的な点検範囲、点検方法、点検期限等を見極めつつ、十分配慮する。

社会保険診療報酬支払基金が、全医療保険加入者のデータ約1.6億件(自治体以外の保険者は約1億件)を点検するために行うJ-LIS照会手数料(自治体以外の保険者は原則10円/件)については、特例的に無料とすることとした。

紐付け誤り再発防止へ
省令改正やGL策定

再発防止対策は、①マイナンバー登録事務に関する横断的ルールの策定②マイナンバーの照会方法の改善③マイナンバー登録事務のデジタル化─を柱とする。

①は制度所管省庁が各種制度の申請者にマイナンバーの記載を求める旨を明確化する省令の改正やガイドラインを策定。また、マイナンバー登録にかかる横断的なガイドラインを9月中に策定する。

②はマイナンバーを特定するためのJ-LISへの照会方法について、原則4情報(氏名・生年月日・性別・住所)による照会にするよう、J-LISにおける照会システムを改修。

③は転記ではなくデジタルでマイナンバーカードからマイナンバーを読み取る方法の普及へ向けた障壁の改善、事業者への働きかけを年度内に行うとした。

マイナ保険証のメリット
実感できる仕組み構築

国民の信頼回復に向けた対応は、(1)マイナンバー登録事務に関する横断的ルールの策定(2)マイナンバーの照会方法の改善(3)マイナンバー登録事務のデジタル化(4)マイナ保険証のデジタル環境の整備(5)マイナ保険証のメリットを実感いただける実効的な仕組みづくり─を掲げた。

このうち、(1)はすべての被保険者が安心して確実に必要な保険診療を受けられるよう、マイナンバーカードを取得していない者やマイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていない者に対し、当分の間、本人の申請によらず保険者が「資格確認書」を交付する運用とする。また、「資格確認書」の有効期間は「5年以内」とし、各保険者が設定することとした。

(4)はマイナンバーカードの健康保険証としての利用に加え、自治体による子どもの医療費助成制度や、診察券としても利用できる取り組みを進め、マイナンバーカード1枚で受診できる環境整備を進める。

また、今年1月に運用を開始した電子処方箋について、オンライン資格確認を導入した概ねすべての医療機関・薬局に対し、令和7年3月までに導入することをめざして支援を充実。スマートフォンでの健康保険証利用の仕組みの導入を進め、スマートフォン1つで診療を受けられる環境整備をめざす。

さらに、8年中を視野に次期マイナンバーカードの導入をめざして、券面記載事項や電子証明書の有効期間の延長等について検討を行い、マイナ保険証としての利便性の向上を図る。

(5)は▽患者本人の受診履歴にもとづいた質の高い医療▽効率的な医療システム─の実現などのメリットを政府がより丁寧に伝え、国民等に一層の浸透を図っていくとした。

「マイナンバー情報総点検本部」に出席した岸田文雄首相は、「紐付け誤りの事案が相次ぎ、国民に不安を招いていることを重く受け止め、マイナンバー制度に対する国民の信頼回復に政府を挙げて取り組む必要がある」と指摘。

本日取りまとめた政策パッケージにもとづき、▽マイナンバーの紐付け誤りに関する総点検▽再発防止対策▽国民の信頼回復に向けた対応─を強力に推進していく必要があるとした。

各大臣に対し、総点検について、原則として11月末までに個別データの点検を実施するよう指示。その際は、マイナンバー照会費用を無料とするなど、点検作業を行う自治体や保険者の負担に十分留意すべきとした。

再発防止対策については、マイナンバー登録等にかかる横断的な省令改正やガイドライン策定を、来月中を目途に行うよう指示。

総点検と再発防止を徹底したうえで、国民に選ばれるマイナ保険証になるよう、マイナ保険証のメリットを実感できる実効的な仕組みづくりを進め、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に反映するよう要請した。

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