健保ニュース
健保ニュース 2023年8月合併号
6年度予算概算要求基準を閣議了解
社会保障費 自然増は5200億円
少子化は予算編成過程で検討
政府は7月25日の臨時閣議で、令和6年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針を了解した。
「骨太方針2023・2022・2021」にもとづき、経済・財政一体改革を着実に推進する。重要政策の選択肢を狭めることなく、歳出全般にわたる施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化する方針を示した。
医療や年金などの社会保障に関する国庫負担は、自然増として令和5年度当初予算から5200億円の上積みを認めたうえで、増加額に対し、「新経済・財政再生計画 改革工程表」に沿って着実に改革を実行していくことを含め、合理化・効率化に最大限取り組み、高齢化による増加分に相当する伸びにおさめた結果を6年度予算に反映する。
5年度予算では、高齢化に伴う自然増を5600億円と見込んだうえで、▽薬価改定(▲700億円程度)▽後期高齢者医療の患者負担割合の見直し(▲400億円程度)▽雇用調整助成金等の特例見直し(▲300億円程度)▽保険者機能強化推進交付金・介護(▲100億円程度)─などの改革努力により▲1500億円程度を合理化・効率化し、社会保障関係費の実質的な伸びを4100億円に抑制した。
一方、6年度予算は、高齢者人口の伸びが鈍化するなどの影響で、高齢化に伴う自然増を前年度比400億円減の5200億円と見込んだ。
「わが国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」第1条第3項に規定する「防衛力整備計画対象経費」は、「防衛力整備計画」を踏まえ、所要の額を要求することとした。
「義務的経費」は、前年度当初予算額の範囲内で要求。義務的経費を削減した場合には、同額を「裁量的経費」で要求可能とする。6年度の経済センサス等に必要な経費の増減については加減算することとした。
「その他の経費」は、前年度当初予算額を1割削減する「要望基礎額」の範囲内で要求する。
さらに、「骨太方針2023」、「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画2023改訂版」を踏まえ、▽構造的賃上げの実現▽官民連携による投資の拡大▽少子化対策・こども政策の抜本強化を含めた新しい資本主義の加速や防衛力の抜本的強化を始めとしたわが国を取り巻く環境変化への対応─などの課題に対応するための「重要政策推進枠」を措置。
各省大臣は、前年度当初予算における「その他の経費」に相当する額と「要望基礎額」の差額を3倍した額および「義務的経費」が前年度当初予算の額を下回る場合の差額を3倍した額の範囲内で要望する。
前年度と同様、8月末日を要求・要望期限とした。
要求・要望は、施策・制度の抜本的見直しや各経費間の優先順位の厳しい選択を行うことで、真に必要なニーズを精査する。
物価高騰対策等を含めた重要政策は、「重要政策推進枠」や金額を明示しない形の「事項要求」も含め適切に行うこととし、予算編成過程で検討を加え、「骨太方針2023」を踏まえ措置するとした。
政府が6月13日に閣議決定した「こども未来戦略方針」に盛り込まれた「こども・子育て支援加速化プラン」の内容の具体化の取り扱いは、予算編成過程における検討事項に位置づけた。
消費税率引き上げに伴う社会保障の充実、子育て層支援・介護人材の確保などについては、前年度当初予算の例にもとづき所要額を要求するものとし、その対前年度からの増加の取り扱いも予算編成過程で検討することとした。
岸田文雄首相は、臨時閣議に先立つ政府与党政策懇談会で、「経済成長と財政健全化をともに進めるものとしていくため、重要かつ困難な課題にしっかりと対応しつつ、これまでの歳出改革努力を継続していくことも重要」と言及。
6年度予算の概算要求基準は、こうした方針に沿ったものとの認識を示し、与党幹部および関係閣僚に協力を要請した。