健保ニュース
健保ニュース 2023年7月下旬号
厚労省が保険者等に通知
マイナカード オン資・確認不可の対応
厚生労働省は、「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応」をまとめ、10日付で地方厚生局や都道府県、保険者、審査支払機関に通知した。
患者の医療費負担や医療機関・薬局の窓口対応の取り扱いについて、▽被保険者等が適切な自己負担分(1~3割)の支払で必要な保険診療を受けられる▽医療機関等には、事務的対応以上の負担はかけない─という基本的考え方に沿って明確化し、周知徹底や運用への配慮を求めた。
通知は、マイナンバーカードでオンライン資格確認を行えないケースとして、①資格確認端末で「資格(無効)」、「資格情報なし」と表示②医療機関等の機器不良等─に整理。
①と②のケースで、患者がスマートフォン等によりマイナポータルにアクセスして医療保険の被保険者資格情報の画面を提示できる場合や、健康保険証を持参している場合は、マイナポータルの画面や保険証を医療機関等の受付窓口に提示することにより資格確認を実施。医療機関等の窓口負担として、患者の自己負担分(1~3割)の支払を求めることとした。
この資格確認を実施できない場合、患者はマイナンバーカードの券面情報(氏名、生年月日、性別、住所)、連絡先、保険証等に関する事項(加入医療保険種別、保険者等名称、事業所名)、一部負担金の割合等を申し立てる「被保険者資格申立書」に可能な範囲で記入。患者が申し立てた自己負担分(1~3割)の支払いを医療機関等の窓口負担として求める。
なお、過去に当該医療機関等への受診歴等がある患者について、その時から資格情報が変わっていないことを口頭で確認し、「被保険者資格申立書」に記載すべき情報を把握できる場合には、「被保険者資格申立書」の提出があったものと取り扱って差し支えないこととした。
患者がマイナンバーカードと保険証のいずれも持参していない場合や、有効な保険証の交付を受けていない場合でマイナンバーカードによる資格確認を実施できないケースでは、新たな保険証の交付を受けていない場合の現行の取り扱いと同様に、医療機関等は患者に医療費の全額(10割)を請求する。
一方、再診の患者で、医療機関等で過去の受診歴や身元が分かる場合など、個々の医療機関等の判断で患者の窓口負担に柔軟な対応を行うことは妨げない。
医療機関は、有効な保険証が発行されている場合、患者の現在の資格情報を確認できなかった場合でも、「資格(無効)」画面に表示された喪失済みの資格や、過去の受診歴等から確認した資格にもとづく保険者等番号および被保険者等記号・番号を明細書に記載することにより診療報酬請求等を実施可能とする。
患者の現在または喪失済みの保険者等番号または被保険者等記号・番号を特定することができない場合、明細書の摘要欄に「被保険者資格申立書」で把握している患者の住所、事業所名、連絡先等の情報、その他請求に必要な情報を記載のうえ、保険者等番号および被保険者等記号・番号は「不詳」のまま診療報酬請求等を実施可能とした。
この取り扱いは、令和5年9月の請求から適用することとしたが、これに先立って「被保険者資格申立書」を患者が記入する運用を行うことは差し支えないとした。
審査支払機関は、オンライン資格確認等システムのレセプト振替機能も活用しつつ、患者が医療機関等を受診した当時の加入保険者等を可能な限り特定。特定作業により判明した保険者等が診療報酬を負担する。
保険者等を特定できない場合、災害等の取り扱いに準じ、各保険者等で医療機関等に対する診療報酬等の支払実績に応じ按分して支払うこととした。
このほか、通知は、今後、被用者保険の保険者が転職等による保険資格変更時に、保険証の交付と併せてオンライン資格確認等システムへのデータ登録状況を知らせる取り組みを進めていくと明記。
この仕組みが整備されるまでの間、事業主が加入者に健康保険証を配布する機会に、初めてマイナンバーカードで医療機関等を受診する場合や転職等で新たな保険証が交付された場合、▽受診前にマイナポータルで新しい保険資格が登録されていることを確認▽念のためマイナンバーカードとあわせて保険証を持参─等を周知するよう協力を求めた。