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健保ニュース 2023年7月中旬号

オン資・確認不可の医療費負担
情報提供・収集で保険診療可
佐野副会長 確認不可の要因分析を

社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭部会長)は6月29日、マイナンバーカードでオンライン資格確認を行えない場合の対応を了承した。患者が医療機関等の窓口で医療費全額を負担しないよう、患者や医療機関等にレセプト請求に必要な情報の提供と収集を要請。患者が加入する保険者を特定できない場合、災害等の取り扱いを参考に保険者等で負担を按分する。健保連の佐野雅宏副会長は、「この状態ではマイナ保険証のメリットが享受されない課題が残る」と指摘。マイナンバーカードでオンライン資格確認が行えない要因を分析し、保険者の意見を踏まえ必要な対応を検討するよう求めた。

社保審医療保険部会は6月29日、オンライン資格確認をテーマに議論した。
 厚生労働省が提案したマイナンバーカードでオンライン資格確認が行えない場合の対応は、同日に初会合を開いた「オンライン資格確認利用推進本部」の「オンライン資格確認の利用推進に向けた今後の取り組み」を踏まえた内容で、保険料を払っている患者が3割~1割の自己負担で必要な保険診療を受けられるようにする。

オンライン資格確認で「資格(無効)」、「資格情報なし」と表示された場合や、機器不良のトラブルでオンライン資格確認ができない場合など、何らかの事情でその場で資格確認を行えないケースでは、患者に対して、医療機関、薬局がレセプトを請求するために必要な情報を提供するよう要請。

医療機関、薬局に対しては、被保険者番号などがわからなくてもレセプト請求を可能とするため、必要な情報を患者から収集するなど、一定の事務的対応を求めた。

マイナポータルの資格情報画面(患者自身のスマートフォンで提示可能な場合)や保険証(患者が持参している場合)により患者の資格確認ができない場合、医療機関等は患者に「被保険者資格申立書」の記入を要請したうえで、患者自己負担分(3割~1割)を受領する。

医療費負担にあたり、審査支払機関は過去の資格情報にもとづき医療機関等から請求されたレセプトや資格情報不詳のまま請求されたレセプトについて、可能な限り直近の保険者を特定。最終的に保険者を特定できなかった場合、医療機関等における直近の診療報酬支払実績にもとづき按分している災害等の際の取り扱いを参考に、保険者等で負担を按分することとした。

被用者保険に対しては、事業主が加入者に保険証を配布する機会に、転職等で新保険証が交付された場合に資格情報が正しく表示されない可能性や必要な対応を加入者に周知し、医療機関等を受診する際のトラブルを軽減する必要があるとした。

新規保険証発行の際に、保険者がオンライン資格確認等システムへのデータ登録状況を併せて知らせる取り組みを進めていくまでの間、初めてマイナンバーカードで医療機関等を受診する場合や転職等で新保険証が交付された場合は、受診前にマイナポータルで新しい保険資格が登録されていることを確認するか、念のためマイナンバーカードとあわせて保険証を持参することへの周知を求めた。

厚労省は、マイナンバーカードでオンライン資格確認を行えない場合の具体的な運用方針を整理し、保険者や医療機関等、審査支払機関に通知や事務連絡で周知を図る考えだ。

健保連の佐野雅宏副会長は、早期にマイナンバーカードの保険証登録が進むよう、事業主や関係団体へのさらなる働きかけをはじめ、マイナ保険証のメリットの国民への周知、広報を強力に行うよう要望した。

そのうえで、「マイナンバーカードでオンライン資格確認が行えない状態では、重複投薬の防止や質の高い医療を受診できるというマイナ保険証のメリットが享受されない課題が残る」と指摘。

マイナンバーカードでオンライン資格確認が行えない要因を分析したうえで、保険者の意見を踏まえつつ、必要な対応の検討を進めていくべきとの考えを示した。

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