健保ニュース
健保ニュース 2023年7月上旬号
マイナ保険証の利用者
厚労省調査 過半数がメリット感じず
厚生労働省は、「令和4年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の5年度調査に先行して実施した「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」(オン資加算)の調査結果を6月21日に開催された中医協の診療報酬改定結果検証部会に報告した。同部会での了承を経て同日の総会にも報告し、承認された。
それによると、マイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として利用した者のうち、実感したメリットが「特になし」だった者は56.5%で、過半数がメリットを感じていないことがわかった。
オン資加算の調査・検証
附帯意見踏まえ先行実施
調査は、中医協が4年12月に加藤勝信厚生労働相へ答申した附帯意見を踏まえ、5年度調査に先行して実施した。オン資加算などに関する附帯意見に、「早急に患者・国民の声を丁寧かつ幅広に聴く」ことや「取得した医療情報の活用による医療の質の向上の状況等について十分に調査・検証を行う」と明記されたことを踏まえた。
調査は、今年5月にインターネットで実施。調査客体は、直近3か月のマイナ保険証の利用実績をもとに受診歴有・無ともに1000人、計2000人とした。
マイナ保険証のメリット
実感は認知より大幅減
調査結果では、マイナンバーカードを健康保険証と一体化している割合は61.5%で、このうち受診歴有は20.7%だった。
オン資加算の認知度は、受診歴有で60.0%、受診歴無で41.6%。マイナ保険証を利用した場合に同加算の点数が低くなることの認知度は、受診歴有で69.6%、受診歴無で40.2%となり、いずれの認知度も受診歴有が60%台、受診歴無が40%台となっている。
マイナ保険証のメリットを聞いたところ、▽「複数の医療機関で処方されている医薬品の重複や飲み合わせの問題等が分かり処方を調整できる」が受診歴有で35.4%、受診歴無で23.9%▽「高額療養費の自己負担上限が窓口で分かるようになり、後日払い戻しの手続きをする必要がなくなる」が同29.3%、同14.0%▽「薬剤情報や特定健診情報の紙媒体を医療機関・薬局に持参する必要がない」が同28.1%、同18.1%─などとなった。項目ごとのメリットの認知度は、受診歴有で20~30%程度で、受診歴無の場合はそれより約10ポイント低下する。
受診歴有の者に利用して実感したメリットを聞いた結果は、▽「複数の医療機関で処方されている医薬品の重複や飲み合わせの問題等が分かり処方を調整できる」が13.6%▽「高額療養費の自己負担上限が窓口で分かるようになり、後日払い戻しの手続きをする必要がなくなる」が12.0%▽「薬剤情報や特定健診情報の紙媒体を医療機関・薬局に持参する必要がない」が14.4%─などとなっており、メリットを認知していた者の割合に比べ実感した者の割合は大きく低下した。
メリットの認知経路は、▽「新聞記事やテレビのニュース」が受診歴有で30.7%、受診歴無で28.3%▽「インターネットの記事やSNSの投稿」が同26.6%、同20.5%▽「医療機関・薬局内の掲示」が同23.6%、同7.7%▽「家族・知人」が同10.9%、同7.1%─などとなっており、「加入している医療保険の保険者からの案内」は同8.5%、同2.6%だった。