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健保ニュース 2023年7月上旬号

6年度の次期薬価改定に向け
中医協が議論の進め方を了承
新創加算や長期収載品 算定ルールなど課題

中医協の薬価専門部会は6月21日、令和6年度の次期薬価改定に向けた主な課題と議論の進め方を了承した。

今後、薬価専門部会で、関係業界や薬価算定組織からの意見聴取も行いつつ、▽新薬▽長期収載品▽後発医薬品─等の検討項目を整理したうえで、議論を深めていくこととした。

この日の薬価専門部会では、厚生労働省が次期薬価改定に向けた主な課題を、①5年度薬価改定の骨子に記載されている事項②4年度薬価制度改革の骨子に記載されている事項③「高額医薬品(感染症治療薬)に対する対応」に記載されている事項④これまでに問題提起されている事項⑤その他─に整理。

このうち、①は、新薬創出等加算や長期収載品に関する薬価算定ルールの見直しのほか、革新的新薬の日本への導入状況や安定供給上の課題も踏まえた、これまでの薬価制度改革を検証する。

②は、調整幅のあり方や診療報酬改定がない年の薬価改定について検討。また、③は、市場規模の推計が困難な疾患を対象とした薬剤における薬価算定方法や、緊急承認された医薬品の本承認時における薬価算定の方法等を検討する。

他方、④は、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の「報告書」に盛り込まれた▽安定供給の確保▽創薬力の強化▽ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消▽適切な医薬品流通に向けた取組)─や、政府の「骨太方針2023」で指摘された事項について検討を進める対応を提案した。

7月以降、関係業界や薬価算定組織から意見聴取を実施する。7~9月頃に新薬、長期収載品、後発品等の課題を整理し、10~11月頃に対応の方向性を提示。薬価調査結果速報も踏まえつつ、12月を目途に6年度薬価改定の骨子案を取りまとめる。

健保連の松本真人理事は、医療保険財政に大きな影響を及ぼす新薬が収載される事態が想定されるなか、4大臣合意の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」にある国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立が不可欠なことを十分踏まえるべきとの考えを示した。

イノベーションの推進は、「適正化とセットで議論すべき」と指摘したうえで、「評価の充実を前提とせず、薬価制度全体のバランスや薬価制度以外の対応も含め、幅広い視点で議論する必要がある」と強調した。

他方、「骨太方針2023」に明記された「後発品を始めとする医薬品の安定供給確保」は、「産業構造の見直しと密接に関係している」として、厚労省の対応のみならず、業界の取り組みも十分注視しながら慎重に議論を進めるべきと問題提起。

調整幅のあり方については、「購入主体別やカテゴリー別の状況に加え、流通コストも詳細に調査する必要がある」と言及し、中医協の議論に資するデータの提出を要請した。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、有識者検討会「報告書」に盛り込まれた薬価差の問題は社会保障制度の持続性という観点から解決に向けた対策が必要と訴えた。

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」が決定された平成28年12月の状況と照らし合わせ、現状の薬価制度が適切な視点となっているかを念頭に置き、議論を進めていくべきとの見解を示した。

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