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健保ニュース 2023年7月上旬号

オン資・確認不可の医療費負担
加藤厚労相 マイナ保険証の運用整理
今月中に保険者等へ通知

加藤勝信厚生労働相は、6月20日の閣議後記者会見で、医療機関等でオンライン資格確認が行えない場合の医療費の取り扱いについて、患者が窓口負担3割~1割の支払いで受診可能とする方向性を示した「マイナンバーカードの健康保険証利用の基本的考え方」を公表した。

今月中に具体的な運用方法を文書で明確化し、保険者や医療機関等、審査支払機関に通知する考えを示した。

マイナ保険証で医療機関等を受診した時に、何らかの要因でオンライン資格確認を行えない場合、保険診療が受けられなくなり、患者が医療機関等の窓口で10割を負担するなど、医療費の負担にかかる取り扱いが課題となっている。

このため、厚労省は、医療機関等の受診時にオンライン資格確認が行えない場合でも、保険料を納めている者が医療機関等の窓口で自己負担分(3割~1割)の支払で保険診療を受けられるようにする運用方針を検討し、医療関係者と調整。6月中を目途に具体的な運用方針を整理し、保険者等に通知や事務連絡で周知を図る考えだ。

「マイナンバーカードの健康保険証利用の基本的考え方」は、オンライン資格確認が行えない事情として、①転職等のタイムラグにより新しい有効な保険証が発行されていない②保険証は発行されているがシステムへのデータ登録が完了していない③保険証は発行され、システムへのデータ登録は完了しているが機器不良等のトラブルによりオンライン資格確認ができない─場合の3ケースを例示した。

このうち、①は、「現行と同様、医療機関で柔軟に対応」することとし、健康保険証の持参忘れの場合と同様、患者が窓口で医療費の10割を負担するケースが生じる可能性もある。

②は、転職等の際に事業主から提出される資格取得届にマイナンバーが記載されておらず、保険者で確認中の場合等を想定例とした。

このケースでは、有効な保険証が発行されていることを前提に医療機関等がマイナンバーカードで本人情報を確認し、患者自己負担分(3割~1割)を受領。レセプト請求は、旧保険者のデータでも請求可能な仕組み(レセプト振替機能)も活用し、実際の請求に支障が生じない仕組みを検討する。

また、③は、▽顔認証付カードリーダーの故障▽カードの不具合(券面汚損、ICチップ破損、電子証明書の有効期限切れ)▽資格確認端末の故障▽停電、施設の通信障害、広範囲なネットワーク障害─を想定。

②と同様の患者自己負担分受領・レセプト請求の仕組みを想定したほか、システム障害時モードを利用して確認した資格情報にもとづきレセプト請求を行うこととした。

なお、マイナポータルの資格情報の提示が可能な場合は、その場で資格情報を確認し、患者負担分(3割~1割)を受領する。

②、③のケースとも医療機関に一定の事務負担は発生するが、追加的な経済負担は求めない方向で検討を進めていく。

このほか、厚労省は、オンライン資格確認の実務上のトラブル(顔認証付きカードリーダーの初期設定、電子カルテシステムやレセプトコンピュータとの接続)について、トラブルシューティングのQ&Aを充実させていく意向を示した。

加藤厚労相は、「本年5月でマイナンバーカードによるオンライン資格確認の件数はオンライン資格確認の利用件数全体の6%程度」と言及。

今後、マイナンバーカードの健康保険証利用はさらに拡大していくことが見込まれる状況のなか、「実務上の課題を1つ1つ丁寧に解決することを通じ、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を円滑に進めていく」との考えを示した。

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