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健保ニュース 2023年6月下旬号

支払基金が改正健保法対応を説明
出産一時金 高齢者支援 拠出金納入通知に明記

社会保険診療報酬支払基金(神田裕二理事長)は5月30日の記者会見で、同月の改正健保法の成立などに伴うシステム改修と定款変更を説明した。

現役保険者の出産育児一時金に対する後期高齢者医療制度からの支援額について、後期高齢者支援金との相殺額を拠出金の納入通知に明記するなど、支払基金のシステム改修に着手した。システム改修では、ほかに前期高齢者納付金の財政調整についても開始したが、出産費用の見える化は公表項目等の詳細が定まる今夏に着手する。

支払基金が対応を図る改正健保法などによる改正事項は、①出産育児一時金の引き上げと出産費用の見える化②出産育児支援金等の新設③前期高齢者納付金の算定方法の変更④医療費適正化に資する業務の追加⑤退職者医療制度の廃止⑥介護情報の収集・提供等に係る事業の創設─の6項目。

①は、健保法施行令の改正による出産育児一時金の50万円への引き上げに対応し、システムの設定変更を行った。あわせて、出産費用の見える化に向け、厚生労働省へ出産費用のデータを提供するためのシステム改修を行う。出産費用の見える化で公表する項目は、社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭部会長)における「議論の整理」(4年12月)で、医療機関等の特色やサービス内容、価格などの大枠は固まっているが、詳細は今夏に有識者の検討結果を医療保険部会へ報告することとされている。詳細決定後に着手するシステムの改修は6年3月にリリースし、「議論の整理」で示した4月からの見える化の実施に間に合わせる。なお、請求書様式に改定があった場合は、リリースが半年遅れ6年9月になると見込んだ。

②は、出産育児一時金にかかる後期高齢者医療制度からの支援金を導入することに伴うシステム改修を行う。改修により、▽保険者にかかる「後期高齢者支援金」と「出産育児交付金」▽後期高齢者広域連合にかかる「出産育児支援金」と「後期高齢者交付金」─を相殺する仕組みに対応する。

保険者を支援するための「出産育児交付金」は、後期高齢者医療制度が負担した「出産育児支援金」を各保険者の出産育児一時金の支給額に応じて按分することとされている。各健保組合に対する「出産育児交付金」の額は、支払基金が4月に送付する後期高齢者支援金等の納入にかかる通知書に表示欄を設け、金額を明記するシステム設計を準備する。

システムのリリースは、③の前期高齢者納付金における報酬調整の部分的導入とともに6年2月を予定した。

このほか、②を含め④、⑤、⑥への対応は、法改正に伴う支払基金業務の見直しにあわせ、該当する支払基金定款を変更する。

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