HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2023年6月上旬号

健保ニュース

健保ニュース 2023年6月上旬号

地域医療構想の検討状況
協議検証未開始 全医療機関の23%

厚生労働省は5月25日に開催された「地域医療構想及び医師確保に関するワーキンググループ」(座長・尾形裕也九州大学名誉教授)に、令和5年3月末時点の各医療機関の地域医療構想の対応方針の策定や検証・見直しの状況などの調査結果を提示した。

それによると、対応方針の措置済みを含む「合意・検証済」となっているのは、医療機関単位で全体の60%の7564、病床単位で同76%の93万6229。これを公立・公的医療機関を除く「その他の医療機関」(民間医療機関)でみると、医療機関単位で同55%の6067、病床単位で同64%の45万8491となっている。

逆に「協議・検証未開始」は、医療機関単位で同23%の2956、病床単位で同12%の14万2204。このうち、「その他の医療機関」は医療機関単位で26%の2905、病床単位で19%の13万4311となっている。公立・公的医療機関は機能の再検証が求められてきた経緯があり、民間医療機関の出遅れが表れた格好となった。

地域医療構想は、今後の人口減少・高齢化に伴う医療ニーズの質・量の変化や労働人口の減少を見据え、質の高い医療を効果的に提供できる体制を構想区域ごとの地域医療構想調整会議で策定することとなっており、団塊の世代が後期高齢者となる2025(令和7)年の病床の必要量を4つの医療機能ごとに推計し、病床の機能分化と連携を進める。

医療機関の区分別にみた対応方針の協議状況は、「全医療機関」が▽「合意・検証済の結果に基づき措置済」医療機関単位25%/病床単位26%▽「合意・検証済」同35%/同50%▽「協議・検証中」同17%/同12%▽「協議・検証未開始」同23%/同12%─。

「再検証対象医療機関」が▽「合意・検証済の結果に基づき措置済」同37%/同40%▽「合意・検証済」同21%/同22%▽「協議・検証中」同27%/同24%▽「協議・検証未開始」同9%/同9%▽「対象外」同6%/同5%─。

「その他の医療機関」が▽「合意・検証済の結果に基づき措置済」同23%/同23%▽「合意・検証済」同32%/同41%▽「協議・検証中」同18%/同18%▽「協議・検証未開始」同26%/同19%─となっている。

都道府県別の検討状況(医療機関単位)は、「合意・検証済」の割合が100%に達しているのが奈良、島根、香川、佐賀、沖縄の5県で、80%を超える都道府県はそのほかに11府県となる。一方、「合意・検証済」と「協議・検証中」を合わせて50%に満たない都道府県は9県で、都道府県ごとのバラツキが大きい。

「全医療機関」のうち「協議・検証未開始」の医療機関(2956医療機関)が未開始となっている理由は、「新型コロナ対応の経験を踏まえ、改めて検討中」(1434医療機関)が最も多く、約半数を占める。

健保連の幸野庄司参与は、地域医療構想調整会議の検討状況について「全医療機関の4分の1の約3000医療機関がいまだに『協議・検証未開始』となっている」と進捗の遅れを問題視。第8次医療計画等に関する検討会が昨年12月に行った意見の取りまとめで2025年以降の地域医療構想に言及していることや、かかりつけ医を含めた外来医療機能のあり方などを検討しなければならないとして、今年度中に対応方針を策定することが必須だと強調した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年