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健保ニュース 2023年6月上旬号

諮問会議が骨太へ社会保障を議論
民間議員 改革前進へ施策提言
地域医療構想に法制措置を

政府の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)は5月26日、6月中旬に策定予定の「骨太方針2023」に向けて、社会保障改革、こども、マイナンバーをテーマに議論した。

民間議員は、「こども政策の強化も徹底した歳出改革を大前提とすべき」と指摘したうえで、社会保障改革を一層強力に前進させるべく、地域医療構想の実効性を担保するための法制上の措置や薬剤自己負担の見直し、保険料負担の増加を抑制するための給付とサービスの見直しなどの施策を提言した。

岸田首相は、「成長と分配の好循環の実現には、生活の安定や将来の安心感の基盤となる社会保障の機能強化と持続性への信頼向上、保険料負担の上昇抑制による可処分所得向上が欠かせない」と強調。

地域医療構想の実現をはじめ、医療・介護一体での強靭で効率的な提供体制の構築や徹底した給付の見直しなどを重点的に進めるよう加藤勝信厚生労働相に指示した。

この日の会合では、民間議員が、「骨太方針2023」に向けた「社会保障分野における経済・財政一体改革の重点課題とマイナンバー制度の利活用拡大」と題する意見を提出した。

社会保障分野では、地域を問わず健康で安心して暮らせる医療・介護提供体制の構築や、国民の健康増進へとつながるイノベーションが絶えず生まれるような規制・制度整備、応能負担を通じた社会保障制度の持続性の確保を実行していく必要があると指摘。

また、「こども政策の強化も徹底した歳出改革を大前提とすべき」と主張したほか、次期診療報酬・介護報酬の同時改定の重要な年に改革を一層強力に前進させるべく、①強靭で効率的な医療・介護提供体制の構築②医療・介護分野でのイノベーション創出に向けた環境整備③社会保障制度の安定性・持続性の確保④DXの利活用を通じた徹底的な行財政効率化と効果的な子育て支援の推進─を提言した。

①は、地域医療構想は2025年の目標年限に対して都道府県の権限強化等だけでは進展が不十分であり、改めて実効性が確実に担保できるよう法制上の措置を講ずるよう訴えた。

かかりつけ医機能は、医療者が信頼関係の下で継続的に患者の健康状態をケアすることが重要との認識を示したうえで、医療機関がその機能を強化し、地域で必要な機能の確保が進むよう、かかりつけ医機能報告制度を国民の信頼が得られる実効性の高いものに具体化するよう要望。また、国民が適切な医療機関を選択できるよう、医療機能情報提供制度の拡充を求めた。

②は、薬価改定では新薬の薬価算定の改善や特許期間中のさらなる薬価特例など新薬創出を強力に後押しすると同時に、長期収載品の負担や、その他薬剤自己負担のあり方など、保険制度の持続性確保に向けた見直しを進めるべきと提言した。

③は、高齢化に伴う給付増に対しては、保険料負担の増加を抑制するために、給付・サービスの見直しに加え、所得・資産に即した応能負担の強化が必要と指摘。介護保険の給付と負担も応能負担等の考え方に沿って検討し、利用者2割負担の判断基準や1号保険料負担、多床室の室料負担の見直しは早期に結論を得るべきとの見方を示した。

さらに、医師・薬剤師の連携等によるリフィル処方箋の所期の効率化効果の達成、OTC医薬品・検査薬の拡大など、改革工程表の施策を着実に推進するよう訴えた。

④は、社会保障におけるデータ蓄積やAI等イノベーションの活用を通じ、EBPMによるワイズスペンディングを徹底し、サービスの利便性向上と費用抑制を両立する必要があるとした。

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