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健保ニュース 2023年5月下旬号

中医協がDPC特別調査など議論
コーディング体制に批判集中
松本理事 退出勧告の検討を

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は10日、令和2年4月8日以来、約3年振りに対面審議を再開した。

5年5月8日から、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類感染症」に変更されたことに伴い、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせて中医協を開催することとした。

総会に先立ち開催された診療報酬基本問題小委員会では、入院・外来医療等の調査・評価分科会から、▽令和5年度調査▽DPC/PDPSにかかる4年度特別調査の結果─などの報告を受け、議論した。

「令和5年度調査」は、6年度の次期診療報酬改定に向けて、▽一般病棟入院基本料等における「重症度、医療・看護必要度」の施設基準等の見直しの影響▽新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築に向けた評価等▽外来医療にかかる評価等─の8項目について実施。

このうち、「外来医療にかかる評価等」は、かかりつけ機能を有する医療機関の普及状況、関係医療機関等との連携状況のほか、紹介状なしの病院受診時の定額負担の徴収状況や外来機能分化の取組状況などを調査内容とする。

「DPC/PDPSにかかる4年度特別調査」は、6年度の次期診療報酬改定に向けて、適切なDPC制度の運用を図る観点から、DPC/PDPSになじまない可能性のある病院も含めたDPC対象病院の診療実態にかかる検討を進めるにあたって実施した。

結果をみると、DPCコーディング(14桁分類)の主たる入力者および主たる確認者は、入力者(主治医以外)と確認者(主治医以外)の組み合わせが708病院(全体の47.4%)と最も多い一方、入力者(主治医)と確認者(主治医)の組み合わせは8病院(同0.5%)、入力者(主治医以外)と確認者(主治医)の組み合わせは239病院(同16.0%)にとどまることが明らかになった。

また、3年11月~4年10月におけるコーディング委員会の開催が4回未満の病院が116施設(全体の7.8%)存在したことがわかった。

「5年度調査」の「外来医療にかかる評価等」について、健保連の松本真人理事は、「かかりつけ医は次回改定の最重要テーマの1つ」との認識を示し、「かかりつけ医機能を中心的に担う医師がどのように配置されているのか、幅広く実態を把握すべき」と指摘。

そのうえで、「多くの国民・患者に、かかりつけ医を持ってもらうためには、かかりつけ医機能を有する医師の数なども重要な要素になる」と主張し、専門医の情報など、今後の議論に向けた工夫を求めた。

他方、「DPC/PDPSにかかる4年度特別調査」に対し、松本理事は、「DPC制度が健全に運用されるためには正確なコーディングが不可欠だが、調査結果では、人員配置や手順、委員会の開催等のいずれも適切とは考えにくい状況にある」と問題提起。

さらに、「医療の質の向上と標準化に向け、診療実態に制度を近づけるだけでなく、制度の目的に実態を近づけるため、退出勧告のような対応も検討すべき」との考えを示した。

支払側の眞田亨委員(日本経済団体連合会社会保障委員会医療・介護改革部会部会長代理)は、「コーディングの入力者と確認者のいずれも主治医が関わらない施設が半数にのぼり、コーディング委員会の開催が1年間で4回に満たない病院が一定数ある」と問題視。

そのうえで、「DPCのコーディングは病院の包括点数を定めるうえで根幹をなすものであり、データの質向上、コーディングにかかわる体制の充実は非常に重要な課題だ」と言及し、現状の改善に向け入院・外来医療等の調査評価分科会として適切な対応を行うよう要請した。

中医協は、6年度の次期診療報酬改定に向け、適切なDPCコーディングのあり方に関する議論を進めていく。

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