健保ニュース
健保ニュース 2023年5月合併号
令和5年・日本の将来推計人口
総人口 50年後に現在の7割
65歳以上人口は約4割に
国立社会保障・人口問題研究所(田辺国昭所長)は4月26日、「日本の将来推計人口(令和5年推計)」の結果をまとめ、公表した。
日本の総人口は50年後に現在の7割に減少し、65歳以上人口が約4割を占める。前回推計(2017年)よりも出生率は低下するものの、平均寿命が延伸し、外国人の入国超過増により人口減少の進行はわずかに緩和する。女性1人が生涯に産む子どもの人数を示す「合計特殊出生率」は1.36で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前から見られた低迷を反映し、前回推計における2065年の推計値から0.08ポイント低下した。
将来推計人口は国勢調査結果を踏まえ、5年ごとに実施される。今回は2020年国勢調査による人口を出発点に、2021年から2070年の50年間の日本全域の人口規模と構造の推移を、出生率や死亡率、国際人口移動など一定の仮設を設けて推計した。なお、今回の推計は、新型コロナ感染拡大の影響を受け、通常スケジュールよりも1年遅れて取りまとめられた。
中位推計では、2020年に1億2615万人だった総人口は2056年には9965万人と1億人を下回り、50年後の2070年では前回推計に比べ377万人上回るものの、8700万人まで減少する。
65歳以上の高齢者人口は、2020年の3603万人から増え続け、2043年に3953万人でピークを迎える。その後、減少に転じ2070年には3367万人になると推計される。高齢化率は2020年の28.6%から緩やかに上昇を続け2070年に38.7%でピークを迎える。2070年の高齢者数は2020年と概ね同じだが、高齢化率は10ポイント以上の開きがある。
一方、15~64歳の生産年齢人口は2020年に7509万人だったが、50年後には約3千万人減の4535万人と大幅な減少を見込んだ。0~14歳の年少人口は2020年に1503万人で、50年後には797万人へと減少する見込み。
2070年の合計特殊出生率は、新型コロナ感染拡大以前から見られた低迷を反映し、前回推計の1.44(2065年)から1.36まで低下。併せて、2020年代は、新型コロナ感染拡大の影響を受け、1.20台で推移すると推計した。政府が掲げる希望出生率「1.80」からは大幅なかい離が生じている。
2070年の平均寿命は、男性85.89年、女性91.94年で、50年でいずれも4年程度延びると予測した。前回推計(2065年)から男性は同0.94年、女性は同0.59年延伸した。
このほか、国際人口移動は、日本人の出国超過傾向がわずかに緩和。外国人の入国超過数は、前回推計の年間約6万9千人(2035年)から今回の約16万4千人(2040年)への大幅な増加を見込んだ。