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健保ニュース 2023年5月合併号

薬剤自己負担の引き上げなど
財務省 早急実現すべき重要課題
保険給付範囲見直しを提言

財務省は4月28日、改革工程表の中で早急に実現すべき重要課題をまとめ、経済財政諮問会議「経済・財政一体改革推進委員会」の社会保障ワーキング・グループに提出した。

過去の工程表と比較して進捗が見られない事項、目標が後退していると言われかねない事項として、▽地域医療構想の実現▽薬剤自己負担の引き上げ─の2項目。急ぎ対応が求められる事項として、▽介護保険の利用者負担の見直し─を掲げた。

地域医療構想については、医療法で地域の会議における協議が整わない場合は不足している病床機能を提供するよう、病院に指示・要請できる規定があるが、「ほとんど発動実績はない」と問題視。

地域医療構想の実現の必要性、進捗の遅さを踏まえれば、2025年以降の確実な目標実現を見据えて、例えば、各医療機関に地域医療構想と整合的な対応を行うよう求めるなど、もう一歩踏み込んだ法制的対応が必要と提言した。

薬剤自己負担の引き上げは、単価が高額な医薬品の収載が増え、今後の医療技術の進展に伴い、さらに保険財政への影響が大きい医薬品が出てくることも想定されるなか、保険給付が今のままでは保険料や国庫負担の増大が避けられないと指摘。基本的には、公的医療保険の役割は大きなリスクをシェアすることを前提に考えるべきとした。

そのうえで、諸外国の動向をみると、▽高額な医薬品について費用対効果を見て保険対象とするか判断する▽医薬品の有用性が低いものは自己負担を増やす、あるいは、薬剤費の一定額までは自己負担とする─方向性が考えられ、早急な対応が必要と訴えた。

介護保険の利用者負担の見直しは、後期高齢者医療制度における2割負担の導入(所得上位30%)を受け、介護保険の利用者2割負担(所得上位20%)の拡大について、ただちに結論を出す必要があると強調。

利用者負担を原則2割とすることや、現役世代並み所得(3割)等の判断基準を見直すことについても検討していくべきとの見方を示した。

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