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健保ニュース 2023年4月上旬号

岸田首相が少子化対策で記者会見
「106万円の壁」見直しへ

岸田文雄首相は3月17日、記者会見し、こども・子育て政策の基本的考え方を表明した。
 2022年の出生数は過去最少の79万9700人となり、このまま推移すると、日本の経済社会は縮小し、社会保障制度や地域社会の維持が難しくなると指摘。

そのうえで、「2030年代に入るまでの6年から7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と強調し、社会全体の意識・構造を変えていくという意味で、次元の異なる少子化対策を岸田政権の最重要課題として実現していく考えを示した。

めざす社会像、少子化対策の基本理念と主な課題に対する基本的方向性として、①若い世代の所得を増やす②社会全体の構造や意識を変える③全ての子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する─ことの3点を掲げた。

①は、若い世代の所得向上を実現する際、いわゆる106万円、130万円の壁を意識せず働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引き上げに取り組むほか、被用者が106万円の壁を超えても、手取りの逆転を生じさせない支援などを導入。さらに、制度の見直しにも取り組む意向を示した。

併せて、3月末を目途に取りまとめる、こども政策強化のたたき台の第1の柱として、子育て世帯に対する経済的支援の強化を行う意向を示し、児童手当の拡充や若い子育て世帯への住居支援などについて、包括的な支援策を講じると述べた。

②は、育休を取りやすい職場づくり、育休制度の強化、働き方改革を通じ、人生のラッシュアワーの中で「子供と過ごせる時間を確保する」ことを初めて本格的に取り上げ、社会全体の意識改革に向けた取り組み、働き方改革の推進とそれを支える育児休業制度の強化などに全力で取り組んでいくと言及。

男性の育休取得率の政府目標を2025年度に50%、2030年度に85%と大幅に引き上げるほか、産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割に引き上げる方針を示した。

③は、こども政策強化のたたき台で、「子育て支援制度全体を見直し、すべてのこども・子育て世帯について、親の働き方やライフスタイル、こどもの年齢に応じて、切れ目なく必要な支援が包括的に提供される総合的な制度体系を構築すべく、具体的な支援サービス強化のメニューを示す」と述べた。

様々な支援メニューを行政が切れ目なく伴走する、あるいは支援を要する者に行政からアプローチする形へ可能な限り転換していくとした。

4月1日には、「こども家庭庁」が発足し、その後は国民の声を伺いながら、必要な政策強化の内容、予算、財源についてさらに議論を深め、6月の「骨太方針」までに将来的なこども予算倍増に向けた大枠を示すと改めて言及した。

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