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健保ニュース 2023年4月上旬号

健保連・第522回理事会
宮永会長 さらなる社保改革が不可欠
改正法案は附帯決議の採択焦点

健保連は3月17日、第522回理事会を開いた。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、「全世代型社会保障法案」の審議動向を注視して活動するとともに、持続可能な社会保障制度の構築に向け、さらなる改革が必要と指摘。法案審議では、最終局面で附帯決議の採択が焦点になると見通し、健保組合・健保連の主張、考え方が附帯決議に盛り込まれるよう、関係団体との連携もさらに深め、要請活動や世論喚起に努めていくとした。他方、令和6年度の診療報酬と介護報酬の同時改定などの準備期間となる5年度は、健保組合の強みである保険者機能の成果を振り返り、新たな見直しに落とし込んでいく大変重要な年と言えると強調。改革実現に向けた主張を適切に発信していく一方、健保組合に優位性がある保険者機能の成果を示し、健保組合の価値や意義を高める取り組みも続けていく必要があるとした。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 早いもので、令和4年度も残すところ2週間となった。理事各位には、年度末の多忙な時期に参集いただき、厚くお礼申し上げる。

最近は、全国的に暖かい日が続き、桜の開花宣言があった。また、今週の13日からは、マスクの着用が個人の判断に委ねられる政府の方針が示された。春の陽気と相まって、世の中全体に活気が戻り、本格的にウィズコロナ、アフターコロナの日常生活が始まるものと思う。

先日の春闘の回答をみても、大手企業を中心に賃上げの動きが加速しつつあり、この動きが観光や消費マインドを回復させ、景気の好循環に結び付くことを強く期待している。

さて、私たちに関係する社会保障の分野に目を転じると、これまで期待し、待ち望んでいた全世代型社会保障法案は2月10日に国会提出され、昨日から衆議院での審議が始まっている。法案は、本会議や厚生労働委員会に岸田文雄首相も出席する、いわゆる「重要広範議案」とされており、全世代型社会保障の構築という重大課題を進めていく政府の強い意思を感じる。

この法案には、高齢者の負担にかかわる事項や、前期高齢者納付金の報酬水準に応じた調整の一部導入のほか、かかりつけ医機能の報告制度などの医療・介護体制の基盤強化など、非常に多くの改正事項が盛り込まれている。少子高齢化が急速に進む日本において、今後の社会保障制度のあり方を左右する重要な法案であることは間違いない。

私たち健保組合にとっても、現役世代の負担軽減に資するこれまでの主張や活動を実のある形にすべく、法案審議の動向を注視し、活動していかねばならない。

加えて、現在進行形で進む就業人口の急減を考えると、持続可能な社会保障制度を構築するためには、さらなる改革が必要となる。

これまでも、様々な機会をとらえて、健保組合を取り巻く環境が極めて厳しい状況にあること、私たちの負担が限界にあることを広く世論に訴えてきた。

しかしながら、公費負担を除くコロナ医療費のうち、7割の保険給付費部分が税ではなく、加入者の保険料で賄われていることなど、残念ながら、まだまだ私たち保険者の役割、価値について社会のなかで理解されていない部分が多く、もどかしさを感じている。

今後の国会での法案審議においては、最終局面で附帯決議の採択が焦点になることも考えられる。健保連としても、現場の声を政治に届け、私たちの主張、考え方が附帯決議に盛り込まれるよう、関係団体との連携もさらに深め、要請活動や、また世論喚起に努めていきたい。

各健保組合におかれては、事業主との連携をさらに深め、加入者へ訴える機会を増やし、私たちの現状と課題を理解いただけるよう、積極的な活動を改めてお願いする。

また、3月7日にはマイナンバーカードと健康保険証の一体化などを盛り込んだ、マイナンバー改正法案も閣議決定された。医療保険分野のICT化、医療DXを進めるうえで、欠かせない施策だが、承知のように、マイナンバーカードの一層の普及とともに、カードの取得方法や申請・受付に関する、患者・国民側の課題、事業主や保険者の実務上の課題など、様々な論点があげられている。

来年、6年秋の保険証廃止までの短い期間のなかで、医療の受診者や提供側である医療機関など、すべての関係者が混乱なく迎えられるよう、政府はもとより、関係者一丸となり、検討を進め、入念に準備を進めなければならない。

健保連も各健保組合で実務にあたる方々の意見・要望を聴取しながら、制度が円滑に運営されるよう、国に適切な対応を求めていきたい。

また、6年度は診療報酬、介護報酬の同時改定のタイミングであることに加え、第4期の特定健診・特定保健指導計画、データヘルス計画などのスタートの年となる。その準備の年となる5年度は、私たち健保組合の強みである保険者機能の成果を振り返り、新たな見直しに落とし込んでいく大変重要な年と言える。

改革実現に向けた主張を適切に発信していく一方、健保組合に優位性がある保険者機能の成果を示し、私たち健保組合の価値や意義を高める取り組みも続けていかねばならない。

健保連は、昭和18年5月5日の創立総会から、今年で80年の節目を迎える。健保連会長として、これまでの歴史と伝統を踏まえ、この先も新しい時代にふさわしいかたちで、健康保険制度の発展・充実と会員組合のサービス向上に努めていきたい。

本日は今年度、最後の理事会となる。これからも、理事各位のさらなる助力をお願いして、私のあいさつとする。

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