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健保ニュース 2023年3月下旬号

コロナ5類移行後の診療報酬
中医協が特例の取り扱いを承認
松本理事 廃止へ段階的な見直しを

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は10日、持ち回りで総会を開催し、「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取り扱い」を承認した。

「新型コロナウイルス感染症の診療報酬上の取り扱い」は、同日に政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制および公費支援の見直し等について」を踏まえた内容で、5類に移行する5月8日以降、診療報酬上の特例措置を見直す。

合わせて、今夏までの医療提供体制の状況等を検証しながら必要な見直しを行ったうえで、令和6年度診療報酬改定で恒常的な感染症対応を改める。

診療報酬上の特例措置のうち、「外来・在宅医療」は、疑い患者への対応を公表し、空間的・時間的分離や適切なPPEの活用等、必要な感染対策を講じたうえで行う疑い患者への診療は引き続き評価。疑い患者を広く受け入れる医療機関は、空間的・時間的分離の準備を周到に行う必要があることを考慮する。

コロナ患者に対する診療は、一定程度業務が効率化している一方、類型化に伴い、療養指導やフォローアップ、入院調整で医療機関の果たす役割が大きくなることから、これらの業務の評価を見直す。

往診時に必要な感染対策も引き続き評価。緊急往診は、重症化率の低下や外出制限の緩和により必要性は低下しているため、評価を縮小する。

「入院」は、必要な感染対策(個室・陰圧室での管理含む)は引き続き評価。重症・中等症患者等の特例、回復患者を受け入れた場合の特例は一定程度、評価を縮小する。

「歯科」は、コロナ患者に対して延期が困難な歯科治療を実施する場合の感染対策を引き続き評価。また、「調剤」は、薬剤師によるコロナ患者への医薬品の提供・服薬指導について、コロナ治療薬を処方された来局患者への対応も考慮しつつ、引き続き評価する。

このほか、「介護保険施設等の入所者等の患者への対応」として、▽緊急往診は引き続き評価▽緊急の医薬品の提供・服薬指導等を実施した場合も評価▽リハビリテーションや介護保険サービスとの連携が充実している医療機関における入院医療を評価─する考え方を示した。

健保連の松本真人理事は、今回の見直し案は、▽新型コロナウイルスの特性や医療現場の実態が診療報酬の特例を設定した当初から変化していること▽令和4年度診療報酬改定で新型コロナ治療や感染症対策への評価が充実されたこと▽新型コロナの類型変更─等を考慮したものと指摘したうえで、「従来の感染状況を前提とすれば、医療保険財政への影響は確実に緩和されることが期待できる」と評価。

厚生労働省に対し、医療費の自己負担等について国民・患者に周知するとともに、特例の効果を検証するべきとの考えを示した。

さらに、「特例はあくまで臨時的な取り扱いである」との認識を示し、感染動向や医療提供体制の状況等を踏まえるとしても、9月頃に特例の完全廃止も視野に入れ、段階的な見直しを計画的に進める必要があると強調した。

診療側の委員は、「これまでの医療提供体制に対する支援を一定程度、継続することは必須である」と主張したうえで、今後は幅広い医療機関がコロナに対応できる医療提供体制を構築することと、入院患者の高齢化に対応した方策を講じるための評価も不可欠とした。

また、特例を継続する期間については、急激な見直しにより、これまでコロナに尽力してきた医療機関の対応力が損なわれないよう、今後の感染状況や地域医療の現状を見定めつつ、慎重に判断する対応を求めた。

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