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健保ニュース 2023年3月上旬号

ポスト2025年へ提供体制構築
医療介護促進会議 総合確保方針を了承

厚生労働省の医療介護総合確保促進会議(田中滋座長)は2月16日、令和6年度からの第8次医療計画および第9期介護保険事業(支援)計画の上位方針となる「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(総合確保方針)を座長一任で了承した。これを受け厚労省は、今年度内に告示を改正する意向を示した。

団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年、その後の生産年齢人口の減少の加速等を見据え、(患者・利用者としての)国民の視点に立った医療・介護提供体制の構築を総合確保方針の意義に位置づけた。

医療計画は都道府県、介護保険事業計画は市町村・都道府県が策定主体となる。同方針は、両計画の整合性の確保を目的に6年ごとに大きな枠組みを定めている。

今期改正では、高齢化の進展に伴う疾病構造の変化に応じた、医療・介護を取り巻く環境の変化に着目。65歳人口は2040年、75歳人口は2050年を超えるまで増加。生産年齢人口の減少が2025年以降さらに加速すると見込まれている。

総合確保方針では、急激に高齢化が進行する地域がある一方で、ピークを越える地域があるなど、人口構成の変化や医療・介護の需要動向は地域ごとに異なると指摘。地域の実情に応じた提供体制の確保を図ることが重要だと強調した。また、慢性疾患等の医療・介護の複合ニーズを有する患者の増加やニーズ多様化への対応にも言及した。

これらを踏まえ、①「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築②サービス提供人材の確保と働き方改革③限りある資源の効率的かつ効果的な活用④デジタル化・データヘルスの推進⑤地域共生社会の実現─を総合確保方針の基本的方向性として整理した。

①は、▽新型コロナウイルス感染症で浮き彫りとなった課題に対応するための平時の医療機能分化・連携▽外来・在宅医療における紹介受診重点医療機関の明確化、かかりつけ医機能が発揮される制度整備▽医療従事者確保と働き方改革の一体的取り組みによる地域医療構想の推進▽介護サービスの提供体制の整備や医療・介護の連携強化、地域づくり等を含めた地域包括ケアシステム─を通じた体制構築を推進する。

④は、患者・利用者の医療・介護情報の標準化を進め、デジタル基盤を活用して医療機関・薬局・介護事業所等の間で必要なときに必要な情報を共有・活用できる体制をめざす。

医療・介護提供の将来像
関係者間で共有し改革

今期改正では、総合確保方針と合わせて、「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」を新たに取りまとめた。

現時点で想起し得る「実現が期待される医療・介護提供の姿」を患者・利用者など国民の目線で描き、▽必要なときに「治し、支える」医療や個別ニーズに寄り添った柔軟かつ多様な介護が地域で完結して受けられる▽必要な時に相談できる専門職やその連携が確保されている▽自らの情報を基に、適切な医療・介護を効果的・効率的に受けられる─の3つの柱を同時に実現することによって、国民が必要な情報から適切に選択し、安心感が確保されるとしている。

構成員からの提案を踏まえ作成したもので、行政等関係者が認識し、現在すべきことを考え、具体的に改革を進めるための共有ツールとしての役割が期待される。厚労省は今後、方針と一体的に関係者間への周知を図る考えを示した。

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