健保ニュース
健保ニュース 2023年2月中旬号
社保審が全世代型社会保障など議論
社保財源の確保に意見集中
社会保障審議会(遠藤久夫会長)は1月30日、全世代型社会保障の構築、令和5年度厚生労働省予算案について議論した。
全世代型社会保障構築会議が昨年12月16日に取りまとめた「報告書」と令和5年度厚労省予算案の概要を厚労省が説明。厚労省は、「報告書」の内容にもとづき、関係府省と連携しながら、全世代型社会保障の構築に向け着実に取り組みを進めていく意向を示した。
武田洋子委員(三菱総合研究所研究理事 シンクタンク部門副部門長兼政策・経済センター長)は、「全世代型社会保障の基本的な考え方が取りまとめられたことは大きな成果」と評価。5つの基本理念に沿って社会保障改革を着実に進めることが何よりも大切との考えを示し、「その際は、能力に応じて全世代が支え合うと同時に、給付の不断の見直しにも取り組む必要がある」と指摘した。
他方、「真に少子化に歯止めをかける施策の実施が重要」と強調し、財源に限りがあるなか、エビデンス、ニーズを踏まえ、真の少子化問題の解決に資する施策を実施するよう求めた。
内堀雅雄委員(全国知事会社会保障常任委員会委員長(福島県知事))は、こども子育て支援の充実に向けた安定財源の確保が必要と主張したほか、「こどもの健やかな育ちの観点から医療費負担の軽減は重要」と主張し、「速やかに全国一律の医療費助成制度を国で創設する必要がある」と訴えた。
松原由美委員(早稲田大学人間科学学術院教授)は、「社会保障全体の機能強化を図るためにも、財源確保の議論から逃げない姿勢が重要」との考えを示した。
遠藤会長は、委員の意見や要望を踏まえ、今後、社会保障制度の運営改革を進めるよう厚労省に指示した。