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健保ニュース 2023年2月上旬号

令和6年度の診療報酬改定へ
中医協が検討の進め方を了承
同時改定や医療DXなど課題に

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は1月18日、令和6年度診療報酬改定に向けた検討の進め方を了承した。介護報酬、障害福祉サービス等報酬との同時改定のほか、地域医療構想や医療DXなどの課題を踏まえ、検討を進めていくこととした。4月から医療DXや入院、外来等について意見交換を行い、10月以降、個別具体的な改定項目の議論を深める。健保連の松本真人理事は、「医療保険財政は極めて厳しい状況」と指摘し、個別課題として掲げた医療DX等について、「評価にメリハリを効かせることが不可欠」と強調した。

厚生労働省は、1月18日の中医協総会に、令和6年度診療報酬改定に向けた検討の進め方を提案した。

6年度の診療報酬改定に向けては、人口動態や社会情勢の変化、医療提供体制改革等を踏まえ、検討を進めることとした。

具体的には、▽ポスト2025年も見据えた介護報酬・障害福祉サービス等報酬との同時改定である▽2025年に向けて地域医療構想の取り組みを進めるとともに、医療介護総合確保促進会議で「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」が取りまとめられる▽新興感染症への対応を含む5疾病6事業等の見直しを行う第8次医療計画が令和6年度から開始になる▽医師の働き方改革として2024年4月に労働時間上限規制等、改正労働基準法および改正医療法が施行する▽医療DXの実現に向け議論が進められている─ことにもとづき検討。

薬価制度改革に向けては、革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の日本への早期上市、医薬品の安定的な供給を図る観点から、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」で、流通、薬価制度、産業構造の検証など幅広く議論し、取りまとめが行われることを踏まえ検討する。

保険医療材料制度改革は、プログラム医療機器(SaMD)の評価体系を検証し、今後のあり方について検討が求められていることを背景とした。

答申書附帯意見に関する事項は改定結果検証部会、第8次医療計画・医師の働き方改革・医療DXは総会、プログラム医療機器の取り扱いは保険医療材料等専門組織の下に設置する「SaMDワーキンググループ(仮)」の検討の場で議論。

また、例年と同様、入院・外来医療等の調査・評価分科会や調査実施小委員会、医療技術評価分科会の場で検討を進める。

さらに、介護報酬制度および障害福祉サービス等報酬制度との同時改定を視野に、「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(仮)」で議論することを提案した。

総会では、第1ラウンドとして、5年4月から第8次医療計画・医師の働き方改革・医療DX、6月から入院・外来・在宅・歯科・調剤・感染症・個別事項等について、広く意見交換を実施。

第2ラウンドの10月からは、年明けの6年度診療報酬改定の諮問・答申に向けて、個別具体的な改定項目の検討を深めていくスケジュールを想定した。

薬価専門部会では、4月を目処とする有識者検討会の取りまとめを踏まえ、5月以降、議論に着手。

同時改定へ意見交換会
3月から3回程度開催

厚労省が提案した「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会」は、中医協および介護給付費分科会が具体的な検討に入る前に、より有機的に連携した診療報酬と介護報酬となるよう、同時改定に関する議題に関係する委員等で意見交換を行うことを目的とする。

新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた今後の健康危機管理やポスト2025および2040年を見据えた課題や方向性の共有を目的とし、具体的な報酬に関する方針は決めない。

議題は、各報酬の対象者が今後直面すると考えられる、▽地域包括ケアのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携▽高齢者施設・障害者施設等における医療▽認知症▽リハビリテーション・口腔・栄養▽人生の最終段階における医療・介護▽訪問看護▽薬剤管理─などの課題を念頭に入れる。

令和5年3月以降、3回程度の開催を予定し、会議で出された意見は、中医協、介護給付費分科会、障害福祉サービス等報酬改定検討チームにも報告することとした。

健保連・松本理事が
患者の意見聴取を要望

令和6年度診療報酬改定に向けた検討の進め方、6年度の同時改定に向けた意見交換会について、健保連の松本真人理事は、横断的な視点として、主な支え手である生産年齢人口の減少により、医療保険財政は極めて厳しい状況にあると指摘した。

個別課題として掲げられた新興感染症への対応、働き方改革、医療DX、医薬品の早期上市と安定供給、プログラム医療機器は、「いずれも重要」との認識を示したうえで、「評価の充実を前提とするのでなく、あくまでもメリハリを効かせることが不可欠」と強調。

さらに、「昨年夏と、年末の答申書附帯意見で、オンライン資格確認等システムの加算に対し、患者・国民の声を聴くことが明記された」と言及し、医療DXの意見交換を行うなかで、本格的な議論に入る前に、一般の患者や国民の意見を聴取するよう強く要望した。

これに対し、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「患者個人の意見は偏りが生じ、適切ではない」と述べ、明確に反対した。

厚労省は、患者・国民の意見を聴くという附帯意見を重く受け止め、実現の方法について様々な検討を進めていく意向を示した。

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