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健保ニュース 2023年1月下旬号

マイナカードと保険証の一体化
佐野副会長 国民にメリットの説明を

社会保障審議会医療保険部会(田辺国昭部会長)は16日、オンライン資格確認等システムをテーマに議論した。

この日の会合では、厚生労働省が「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」に向けた検討状況を説明した。

政府は、マイナンバーカードと保険証の一体化を進めるため、令和6年秋に保険証の廃止をめざす。保険証の廃止に向けては、細部にわたりきめ細かく環境を整備する必要があるとし、医療を受ける国民、医療を提供する医療機関関係者などの理解が得られるよう、丁寧に取り組んでいくこととしている。

昨年12月6日には、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の初会合を開催し、「専門家ワーキンググループ」の設置を決定。専門家WGはその後、3回の会合を開催し、議論を進めている。

同検討会の初会合では、▽保険者の資格情報入力のタイムラグ等への対応▽マイナンバーカード不所持の場合の取扱い▽特急発行・交付の仕組みの創設▽代理交付・申請補助▽発行済みの保険証の取扱い─などを検討事項に位置づけた。

さらに、▽資格の取得や喪失の事実関係、資格確認に必要な事項の証明に関する規定の整備▽滞納対策の仕組み、滞納者への通知等に関する規定の整備▽保険証廃止に伴い不要となる規程の削除、これらに伴う技術的改正─など、国民健康保険法等の法律改正も想定。厚労省は、今通常国会に改正法案を提出する意向を示す。

健保連の佐野雅宏副会長は、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、実務上の課題が山積みである」との認識を示したうえで、現時点における全体の課題を網羅的に整理し、関係者間でスケジュールや工程を管理しながら適切に協議を行うよう要請。限られた時間のなかで一体化の取り組みを進めることに対し、「医療の質が向上するというメリットを国民・患者へ説明する広報・周知が最も重要である」との考えを示した。

一体化に関する検討会や専門家WGの検討に際しては、可能な限りデジタル技術を活用することで、国民・患者が適正かつ円滑に保険診療等を受けることが可能となる対応を求めた。

このほか、この日の会合では、中央社会保険医療協議会が昨年12月23日に加藤勝信厚労相に答申した「オンライン資格確認の導入の原則義務付けにかかる経過措置および加算の特例措置」について議論した。

佐野副会長は、「経過措置と特例措置の延長はあり得ない」と強く指摘したほか、「最も重要なことは、患者がマイナンバーカードで医療機関等を受診することにより、安心・安全でより良い医療を受けることが可能になるなど、患者・国民が様々なメリットを実感することだ」と主張し、その旨を明記した「答申書附帯意見」の確実な履行を訴えた。

医療機関等のオン資確認
運用開始は全施設の41%

厚生労働省は、1月8日時点の医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の導入状況をまとめ、16日の医療保険部会に報告した。

それによると、オンライン資格確認の運用を開始した医療機関・薬局は9万3378施設で、全体(22万9936施設)の40.6%となることが明らかになった。

内訳は、病院(53.1%)、医科診療所(28.7%)、歯科診療所(31.5%)、薬局(66.7%)。都道府県別の運用開始状況をみると、▽病院は岩手(78.3%)と茨城(39.7%)▽医科診療所は宮崎(44.7%)と島根(18.4%)▽歯科診療所は鳥取(65.4%)と東京(21.8%)▽薬局は岡山(82.4%)と大分(54.8%)─のように、最高と最低で大きな地域差が生じている。

このほか、オンライン資格確認の導入を予定している、顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関等は20万8719施設で、全体の90.8%(病院98.4%、医科診療所90.1%、歯科診療所87.3%、薬局94.7%)を占めた。

このうち、院内システムの改修など、オンライン資格確認の準備が完了している医療機関等は11万2307施設で、全体の48.8%(病院63.3%、医科診療所38.1%、歯科診療所39.2%、薬局73.7%)だった。

なお、交付実施済みのマイナンバーカードは約7261万枚(人口比57.7%)で、このうち56.1%の4071万3474件が健康保険証の利用を登録していた。

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