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健保ニュース 2023年1月中旬号

かかりつけ医機能・制度整備等
医療部会が提供体制改革を了承
厚労省 医療法改正案の作成に着手

社会保障審議会医療部会(永井良三部会長)は12月23日、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」や「地域医療構想の推進」などを盛り込んだ「医療提供体制の改革に関する意見」を大筋で了承した。

これを受け厚生労働省は、次期通常国会への医療法改正案の提出を視野に法案の作成作業に着手する。

「医療提供体制の改革に関する意見」は、2040年頃まで続く高齢化への対応とあわせ、人口減少に対応した全世代型の社会保障制度を構築していくという基本理念の下で医療提供体制の改革を推進する必要があると問題提起し、▽かかりつけ医機能が発揮される制度整備▽医療法人制度の見直し▽地域医療構想の推進▽医療従事者に関する取り組みの推進─を具体的な改革内容として明記した。

このうち、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」は、国民・患者がニーズに応じて「かかりつけ医機能」を有する医療機関を選択して利用することができる仕組みを想定。

医療機関は地域の実情を踏まえ、その機能や専門性に応じて連携し、自らが担う「かかりつけ医機能」の内容を強化する仕組みを基本的な考え方とした。

持病(慢性疾患)の継続的な医学管理や日常的によくある疾患への幅広い対応、在宅医療などのニーズに対応する機能を確保するため、「かかりつけ医機能報告制度」を新設し、必要な「かかりつけ医機能」の充実・強化を図る仕組みを導入。

医療機関は都道府県にニーズに対応する機能等を報告し、都道府県は機能をあわせもつ医療機関を確認・公表したうえで、医療関係者や医療保険者等が参画する地域の協議の場で不足する機能を強化する具体的方策を検討し、結果を公表する。

患者が継続的な管理を必要とし、患者が希望する場合に、医療機関がかかりつけ医機能として提供する医療の内容について、書面交付などを通じて説明。書面の具体的な内容については、今後、有識者や専門家等の参画を得て、さらに詳細を検討することとした。

こうした取り組みを着実に進めるため、▽有識者等の参画を得た検討結果を踏まえ、医療法にもとづく「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るための基本的な方針(告示)」等の関係法令を改正▽7年度を目途に地域の協議の場における「かかりつけ医機能」に関する議論を開始▽具体的方針等が決定した段階で、適宜、医療計画に反映(第8次医療計画の中間見直し)─のスケジュールを想定している。

「かかりつけ医機能報告制度」の新設に合わせ、国民・患者がそのニーズに応じて適切に「かかりつけ医機能」を有する医療機関を選択できるよう、「医療機能情報提供制度」を刷新する。

スケジュールは、6年度以降に医療機能情報の公表の全国統一化や、有識者等の参画を得た検討結果を踏まえ、情報提供項目の見直しを実施することを想定した。

他方、2025年までの取り組みとなっている「地域医療構想の推進」は、今後、高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる2040年頃までを視野に入れつつ、新型コロナ禍で顕在化した課題を含む中長期的課題を整理し、新たな地域医療構想を策定すべきと明記。

現在の取り組みを確実に進めつつ、新たな地域医療構想の策定に向け、現状と課題を分析し、課題の整理・検討を行う方向性を示した。

今後の取り組みについては、かかりつけ医機能や在宅医療を取り込むため、外来医療、在宅医療の整備計画のなかで新たな方向性や目標を踏まえながら、2025年以降の入院需要を推計していく必要があるとした。

かかりつけ医機能の制度整備
疾患・年齢を問わない幅広い層の活用可能に
河本専務理事

「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」について、健保連の河本滋史専務理事は、「かかりつけ医機能は、今回がゴールではない」との考えを示し、「今回の制度整備を第一歩として捉えるべき」と指摘した。

今回の取りまとめが、慢性疾患の高齢者を想定した内容となっていることに対しては、「コロナ禍でかかりつけ医がいなくて困った者が現役世代でも多数いたことを踏まえれば、最終的には疾患や年齢を問わず、幅広い層が活用できる仕組みにすることが必要」と強調。

医療機関から患者への書面交付については、「今後、有識者や専門家も参画する場で、ゴールを見据えた議論が行われることを期待したい」と言及した。

井上隆委員(日本経済団体連合会専務理事)も、「かかりつけ医機能は、より幅広い層を対象とすることを今後議論すべき」と述べ、「現役世代は職場で過ごす機会が多いことを踏まえ、今後の議論のなかで職域の視点も追加すべき」との見解を示した。

「地域医療構想の推進」については、河本専務理事が、2040年を視野に入れた地域医療構想のバージョンアップに向けて、現行の地域医療構想策定の考え方や都道府県における計画の策定、実行に関する一連の検証結果・課題整理を踏まえた検討を行うよう訴えた。

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