健保ニュース
健保ニュース 2023年新年号
介護保険部会が取りまとめ
給付と負担は来夏に先送り
河本専務理事 見直しの確実な実現を
社会保障審議会介護保険部会(部会長・菊池馨実早稲田大学理事・法学学術院教授)は12月19日、令和6年度からの第9期介護保険事業計画に向け、介護保険制度の見直しに関する意見の取りまとめを部会長に一任することを了承した。20日に厚生労働省ホームページで公表した。
前々回の会合で議論した給付と負担の見直しに関する事項は、全世代型社会保障構築会議が取りまとめた「報告書」に、「来年度の「骨太の方針」に向けて検討を進めるべきである」と明記し、結論を先送りした。これを踏まえ、1号保険料のあり方と、2割負担となる「一定以上所得」の判断基準について、結論を来年夏まで見送る。多床室の室料負担は、次期計画に向け介護報酬の設定を含め介護給付費分科会で検討することとした。
給付と負担に関しては、①被保険者範囲・受給権者範囲②補足給付に関する給付のあり方③多床室の室料負担④ケアマネジメントに関する給付のあり方⑤軽度者への生活援助サービス等に関する給付のあり方⑥「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準⑦高所得者の1号保険料の負担のあり方─の7点が検討事項とされていた。
負担割合の判断基準のうち「一定以上所得」を含む3点が第9期に向けて検討項目となった。一方、第9期に向けて検討することとしていたケアマネジメント、軽度者への生活援助サービス等の給付については第10期計画期間の開始までに結論を出すこととし、それら以外は時期を明示しなかった。
健保連の河本滋史専務理事は、制度の持続可能性を確保するために、▽負担能力に応じた負担▽給付と負担のバランスの確保▽サービスの適正化・重点化─の観点から、より踏み込んだ見直しを早急に検討し、確実に実施すべきだと強調。見直しを先送りすることはもはや許されないとして、来年夏までとされた課題について、審議時間の確保も含め、十分な議論と見直しの確実な実現を要望した。