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健保ニュース 2022年12月中旬号

厚労省が4年度薬価調査の速報値
市場実勢価格との乖離率は7%
乖離率や妥結率は例年と同程度

厚生労働省は2日、医薬品の市場実勢価格に関する令和4年度薬価調査の速報値を中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)の薬価専門部会に提出した。

4年度薬価調査の結果は、5年度の毎年薬価改定に向けた議論を進めるための検討素材に位置づけられる。4年度改定から半年後の医薬品の市場実勢価格は公定価格を平均で7.0%下回った。

薬価の平均乖離率は、平成30年度7.2%、令和元年度8.0%、2年度8.0%、3年度7.6%で推移。平均乖離率をはじめ、投与形態別・主要薬効群別乖離率や妥結率の状況は例年と同程度の水準となった。

4年度の薬価調査は、今年の9月取引分について、販売サイドから11月4日までに報告があったものを集計。回収率は87.6%で、前回の3年度(86.1%)、前々回の2年度(86.8%)と同等の数値となっている。

調査結果をみると、公定価格と市場実勢価格との乖離率は7.0%で、3年度の7.6%に比べ0.6ポイント縮小。

投与形態別の乖離率は、内用薬が平均8.2%(令和3年度8.8%)で最も大きく、特に「高脂血症用剤」(12.7%)や「その他のアレルギー用薬」(11.6%)、「血圧降下剤」(11.3%)、「消化性潰瘍用剤」(11.3%)が公定価格に比べ10%以上下回った。

注射薬は平均5.0%(令和3年度5.6%)、外用薬は平均8.0%(同7.9%)、歯科用薬剤は平均▲4.3%(同▲2.4%)の乖離率。

歯科用薬剤は市場実勢価格が公定価格を上回る「逆ザヤ」と呼ばれる現象が引き続きみられ、マイナスの乖離幅は3年度の▲2.4%から拡大した。

一方、4年度上期の妥結率は94.1%(同94.1%)だった。
 診療報酬改定がある年の薬価改定は、市場実勢価格と公定価格との乖離を埋めるため、医療機関や薬局が販売事業者から購入した市場実勢価格を品目ごとに加重平均し、調整幅(現行2%)を上乗せした額を新たな公定価格とする。

これに対し、診療報酬改定がない年の薬価改定は、そのあり方や、対象範囲、適用する既収載品目の算定ルールなどを論点に中医協で検討を進めている。

2年前の3年度毎年薬価改定では、平均乖離率8%の0.625倍(乖離率5%)を超える1万2180品目(全品目の69%)を対象とした。

また、「新型コロナウイルス感染症特例」として、薬価の削減幅を0.8%分緩和。3年度薬価改定に伴う医療費への影響は▲4300億円だった。

算定ルールは、既収載品のルールのうち、実勢価改定と連動し、その影響を補正するルールを適用した。新薬創出等加算の加算は適用する反面、累積額控除は不適用。また、後発品への置換え率に応じて引き下げる長期収載品の薬価改定も適用しなかった。

今回、4年度薬価調査の結果が明らかとなったことで、5年度毎年薬価改定に向けた議論の本格化が期待される。

4年度薬価調査の結果について、健保連の松本真人理事は、「平均乖離率は前回に比べ低くなっているが、投与形態別、薬効群別にみても、極端な数字の変化はない」との認識を示した。

また、後発医薬品の数量シェアについても、「少なくとも後退はしていないと受け止めている」と言及。

今後の議論に向けては、投与形態別と薬効群別だけでなく、新薬、長期収載品、後発品の違いを含め、カテゴリー別の乖離率の分布を丁寧にみていくべきと指摘し、必要なデータを提示するよう厚労省に要請した。

4年9月後発品数量割合
79%で前年度と同等

厚生労働省は2日、令和4年9月取引分を対象とした薬価調査の結果、後発医薬品の数量割合は前年同月比増減なしの79.0%だったことを中医協の薬価専門部会に報告した。

後発品の数量割合は、診療報酬などによる使用促進策に伴い、平成30年9月の72.6%、令和元年9月の76.7%、2年9月の78.3%、3年9月の79.0%と着実に上昇してきたが、80%に近づくにつれ、伸び率は鈍化傾向にある。

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