健保ニュース
健保ニュース 2022年12月上旬号
健保連が医療・介護の国民意識調査
4割が高齢世代の負担増容認
「かかりつけ医」が有は3割弱
健保連は11月16日、「医療・介護に関する国民意識調査」を発表した。医療・介護保険制度における現役世代と高齢者世代の負担のあり方について、4割が高齢者世代の負担増を容認した。高齢者世代も含め同世代の負担増を容認する声が多く、現役世代の負担増を容認する声の2倍を超える。他方、「かかりつけ医」のあり方について、「いつも相談する医師がいる」との回答は3割弱で、年齢に比例して割合が高まる傾向が明らかになった。
医療費や保険料の負担
7割近くが重く感じる
調査は、日本の公的医療・介護保険制度や医療提供体制に対する国民の認識や具体的なニーズを把握し、今後のあるべき方向性を検討するための基礎資料とすることを目的として、今年7月に70歳代までの一般成人3000人を対象にWEBアンケート方式で実施した。
医療・介護保険制度における現役世代と高齢者世代の負担のあり方について、「高齢者世代の負担が重くなることはやむを得ない」とする回答(42.3%)が、「現役世代の負担増はやむを得ない」とする回答(19.5%)の2倍を上回った。
年齢階級別にみると、「高齢者世代の負担増はやむを得ない」は、30歳代が48.8%と最も高く、20歳代の47.1%、70歳代の45.6%と続き、若年層のほか高齢者世代の割合も高くなっている。
一方、「現役世代の負担増はやむを得ない」は、70歳代が21.8%と最も高く、50歳代、60歳代の21.6%の順だった。
令和元年度現在で国民1人当たり35万1800円である国民医療費の規模について、「重いと感じる」は64.8%。また、2年現在で加入者1人当たり月額1万6300円である健康保険料を「重いと感じる」は68.7%で、いずれも7割近くに達する。
高齢者の医療費の負担のあり方については、「患者自身の受診時の自己負担割合を引き上げる」(26.5%)、「高齢者自身による保険料の負担を増やす」(22.0%)、「税金による負担を増やす」(17.2%)の回答が多い。
一方、「現役世代が支払う保険料からの支援金を増やす」は7.0%にとどまる。
医療保険の給付見直しや患者の自己負担増がやむを得ないと感じる箇所は、「OTC薬と同成分の医薬品の保険適用除外」(24.8%)、「程度の軽い傷病による受診時の患者負担増/保険の適用除外」(23.6%)で高い一方、「保険給付の見直しや患者の自己負担の増加には反対」は「14.8%」と低くなっている。
介護費を賄う方法
利用者自己負担が最多
増加する介護費を賄う方法について、「介護サービスを利用したときの利用者の自己負担を増やすのがよい」が24.3%と最も多く、「税金の引き上げや新設によって賄うのがよい」(16.9%)、「高齢者の保険料を引き上げるのがよい」(14.9%)の順だった。
年齢階級別にみると、「介護サービスを利用したときの利用者の自己負担を増やすのがよい」は70歳代が34.5%と最も多くなっており、60歳代の27.5%と続き、年齢に比例して利用者の自己負担を求める割合が高かった。
かかりつけ医への期待
専門医の紹介や病歴把握
医療提供体制の「かかりつけ医」のあり方では、日頃から決まって診察を受ける医師・医療機関(かかりつけ)の有無について、「何か体調に不具合があった時に、いつも相談する医師がいる」が24.2%だった。
年齢階級別にみると、20~40歳代で2割を下回る一方、50歳代の27.6%、60歳代の32.1%、70歳代の38.0%のように、年齢に比例して高まる傾向がみられた。
かかりつけの医師・医療機関に期待することは、「必要に応じて専門の医師・医療機関を紹介してくれる」(52.5%)、「幅広い症状や病気に対応してくれる」(45.0%)、「過去の病歴や、他の医療機関の受診内容・結果を、よく把握している」(29.3%)の順となっている。
オンライン受診の経験
若年層ほど高い傾向
オンライン診療について、「初診または再診をオンラインで受けたことがある」が6.7%で、20歳代の16.0%、30歳代の9.5%、40歳代の8.0%と続き、若年層ほどオンライン受診を経験した割合が高かった。
オンライン診療に対する肯定的な意見は、「自宅で受診できるため、便利であると思う」(46.9%)、「医療機関での待ち時間がなくなり、便利だと感じると思う」(37.8%)などが多い。
一方、否定的な意見は、「直接の対面でないため、十分な診療が受けられるのかが不安に思う」(28.0%)、「必要な通信機器を持っていない患者が多いと思う」(14.4%)などが多かった。
リフィル処方箋で
通院頻度減が6割超
リフィル処方箋については、「リフィル処方箋を受けて通院の頻度を減らしたいと思う」が、定期的に通院している傷病の有無合計で62.3%(傷病有30.6%、傷病無31.7%)と6割を超えた。
一方、「医師の診断を受ける方が安心であり、リフィル処方箋は希望しない」は、定期的に通院している傷病の有無合計で37.8%(傷病有16.6%、傷病無21.2%)だった。
組合管掌健康保険
半数超がサービスに満足
医療保険者が提供しているサービスへの満足度について、加入している医療保険別にみると、「満足(「かなり満足している」と「やや満足している」の合計)」は、組合管掌健康保険では50.5%と半数超に達し、回答者全体(41.8%)を大きく上回った。
「満足度」は、▽全国健康保険協会38.0%▽共済組合50.4%▽国民健康保険36.0%▽後期高齢者医療広域連合49.5%─となっている。