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健保ニュース 2022年11月下旬号

4年度2次補正予算案を閣議決定
コロナ影響 健保組合に財政支援
保険証廃止に伴う補助も

政府は8日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」の裏づけとなる令和4年度の第2次補正予算案を閣議決定した。

一般会計の歳出総額は28兆9222億円。このうち、厚生労働省の所管分は4兆6137億円で、①賃上げ、人への投資、成長分野への労働移動とそれを支える雇用保険財政の安定化(約7000億円)②新型コロナウイルス感染症対策およびコロナ禍の影響を受けた方への支援等(約3.6兆円)③医療・介護分野のDXの推進、科学技術力向上・イノベーションの実現(約1000億円)④子ども・子育て支援等(約1900億円)⑤安心できる暮らしと包摂社会の実現(約800億円)─を盛り込んだ。

②では、新型コロナウイルス感染症の影響で経常収支が悪化したこと等により、財政運営が極めて困難となった健保組合に対する財政支援が盛り込まれた。

この施策は、令和元年度から3か年計画でスタートした保険者機能強化支援事業のスキームを視野に入れたもので、助成額は10億円(9.9億円)を計上。

今夏の5年度予算概算要求段階(健保組合関係助成費)では、年末の予算編成過程で調整することとしていたが、5年度本予算から前倒しする形で4年度補正予算案に振り替えた。

前回の3年度補正予算ではコロナ対策としての保険者機能強化支援の拡充(9.8億円)が手当てされたが、引き続き、コロナの影響を考慮し、今回の補正予算案にも同様の趣旨の助成事業を位置づけた。

補助対象は、(1)保険料率9.5%以上(2)財源率9.0%超(3)保有資産200%未満(4)単年度経常赤字(5)経常収支が前年度に比べ悪化(6)1人当たり医療費の伸び率が前年度比4%以上─のすべての基準に該当する健保組合とする方向で、(6)はコロナ第7波の影響を踏まえ新たに要件を追加。20組合程度の対象を見込む。

6つの要件に該当する健保組合に対し、前年度並みの事業規模の水準が維持されるよう、補助対象経費は3年度の保健事業費と同額を上限とし、この範囲の費用に一定率の補助割合を乗じた国費を交付する。

補助割合は、被保険者1人当たり保健事業費が全組合の4分の1未満の組合に2分の1、全組合平均の4分の1以上3分の2未満の組合に4分の1とする予定としている。

このほか、②は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)を1兆5189億円積み増し、受入病床や療養体制の確保などを支援することで、医療提供体制の強化を図る。

③は、「マイナンバーカードと健康保険証等の一体化に向けた取り組み(344億円)」のうち、「オンライン資格確認の用途拡大等の推進」に224億円を計上。マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認等システムについて、用途拡大のための改修とともに、訪問診療等におけるオンライン資格確認等の導入にかかる財政支援を行う。

さらに、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に伴うシステム改修等」として56億円を充て、6年秋の保険証廃止に伴い、各保険者が導入しているシステム等に所要の機能を追加するほか、被保険者等に対して一体化にかかる周知広報を実施する。

保険者に対する補助額等について厚労省は、新たに設置する関係府省による検討会で詳細を詰めていくとした。

他方、「全国医療情報プラットフォーム開発事業」に23億円を計上。国民の健康増進および質の高い医療の提供に向けて、必要な時に必要な情報を共有・交換できる全国的なプラットフォームを構築し、健康・医療分野のデジタル化を推進する。

5年1月からの電子処方箋の運用開始に向けては、▽電子処方箋管理サービスの円滑運用に向けた環境整備▽電子処方箋を活用したモデル事業▽電子処方箋に関する周知広報事業─に34億円を充てる。

④は、「妊婦・低年齢児の親への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施」に1267億円を計上。妊娠や出産を届け出た妊婦等に対し、出産育児関連用品の購入費助成や子育て支援サービスの利用負担軽減を図る経済的支援(計10万円相当)を一体として実施する事業を支援するための交付金を創設する。

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