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健保ニュース 2022年11月下旬号

全社会議・医療改革検討チーム
かかりつけ医機能制度整備を早急に実現
活用へ「手上げ方式」を提案

政府の全世代型社会保障構築会議(清家篤座長)の「医療・介護制度の改革」検討チームは11日、医療提供体制について、「かかりつけ医機能が発揮される制度整備は不可欠」との考えを示し、早急に実現する必要があると問題提起した。来年の次期通常国会での法改正を視野に入れ、今後の政府における具体的な制度設計に際し、議論を進めるうえでの視点や前提、論点などを明示。このなかで、かかりつけ医機能の活用については、医療機関、患者それぞれの「手上げ方式」を提案したうえで、かかりつけ医機能を持つ医療機関を患者が的確に認識できる仕組みが必要と指摘し、改革の方向性を示した。

この日の全世代型社会保障構築会議は、▽医療・介護制度の改革▽働き方に中立的な社会保障制度等の構築▽子ども・子育て支援の充実─の各検討チーム主査から議論の状況を聴取した。

この日の全世代型社会保障構築会議は、▽医療・介護制度の改革▽働き方に中立的な社会保障制度等の構築▽子ども・子育て支援の充実─の各検討チーム主査から議論の状況を聴取した。この日の全世代型社会保障構築会議は、▽医療・介護制度の改革▽働き方に中立的な社会保障制度等の構築▽子ども・子育て支援の充実─の各検討チーム主査から議論の状況を聴取した。

このうち、「医療・介護制度の改革」検討チームの増田寛也主査は、医療提供体制に関する議論の状況を説明。国民のニーズの変化にあわせ医療提供体制も変化が求められると指摘し、今後の超高齢化社会でかかりつけ医機能が発揮される制度整備は不可欠と訴え、早急に実現すべきとした。

今後、政府における具体的な制度設計に際し、①かかりつけ医機能を考える際の視点②制度整備の議論の前提として考えられること③かかりつけ医機能が発揮される制度整備の検討にあたり考えられる論点─について、現在ある医療資源を前提に制度改正当初から中長期に至る時間軸をもって議論を進めていく対応を求めた。

このうち、①は▽コロナ禍で露呈した医療提供体制の脆弱さ▽超高齢社会における医療の役割の変化(治す医療から支える医療へ)▽医療介護需要の増大と有限の医療資源(社会的コストの最適化)▽地域連携・かかりつけ医機能の基盤となる患者情報の一元化・共有─を検討の視点に位置づけた。

②は今後、2040年頃にかけて医療・介護需要が伸びていくなかで、医療資源は人的にも物的にも有限であり、限られた医療資源について役割分担を徹底させる必要があると指摘し、地域医療構想や地域包括ケアの整備に加え、「かかりつけ医機能」を強化するための制度整備は不可避と強調。

また、▽かかりつけ医機能を利用するか否かを含め医療の選択は国民の権利であって義務ではない▽コロナ禍で必要な医療が必要な時に受けられる重要性が幅広く国民に認識された▽患者・家族の立場に立って最適の医療・介護が提供されるよう必要な調整を行う▽必要に応じて入院・退院支援を行う役割を持つ─ことを議論の前提とした。

さらに、③は、かかりつけ医機能の定義について、現行の医療法施行細則に明記されている「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」をベースに検討し、「こうした機能の1つとして、患者の情報を一元的に把握し、日常的な医学管理や健康管理の相談を総合的・継続的に行うことが考えられる」と問題提起。

休日・夜間の対応、他の医療機関への紹介・逆紹介、在宅医療、介護施設との連携なども想定し、これらの機能は複数の医療機関が緊密に連携して実施することも考えられるとした。

そのうえで、かかりつけ医機能の活用については、「医療機関、患者それぞれの手上げ方式とすべき」と提案し、医療機関は自らが有するかかりつけ医機能について、住民に情報提供を行い、自治体がその機能を把握できる仕組みを想定。かかりつけ医機能を持つ医療機関を患者が的確に認識できるような仕組みが必要と強調した。

「医療・介護制度の改革」検討チームがまとめた「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」の改革の方向性に対し、構成員からは、「来年の次期通常国会での法改正を視野に要件を明確にしたうえで具体的に設定すべき」などの意見があり、事務局は、社会保障審議会医療部会などで検討が進められるとの見通しを示した。

勤労者皆保険の実現へ
適用拡大をさらに推進

「働き方に中立的な社会保障制度等の構築」の権丈善一主査は、働き方の多様化が進んでいるなかで、誰もが安心して希望どおり働くことができる社会保障制度の構築が必要と指摘し、勤労者皆保険の実現に向けた方向性を提言した。

どのような働き方でも、被用者としてふさわしいセーフティネットが確保されるよう、その働き方や勤め先の企業規模・業種に関わらず、被用者保険(厚生年金保険・健康保険)が適用されることをめざすべきとし、▽短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃▽常時5人以上を使用する個人事業所の未適用業種の解消─を早急に実現するよう提言。併せて、円滑に適用拡大を進めるために必要となる方策を検討するべきとした。

さらに、5人未満を使用する個人事業所や、週労働時間20時間未満の短時間労働者を被用者保険の適用除外にしている規定も見直しを進め、被用者保険の適用拡大を図るための実務面での課題や国民年金制度との整合性にも配慮しつつ、具体的な方策の着実な検討を進めるべきとの考えを示した。

また、複数の事業所で勤務する者(マルチワーカー)で、労働時間等を合算すれば要件を満たす場合の適用についても、実現の道を探るべきとした。

このほか、「子ども・子育て支援の充実」の清家篤主査は、時間軸、地域軸、関係者や国民の理解を得るための方策を中心に議論を行ったと報告した。

「報告」取りまとめへ
次回会合で論点整理

清家篤座長は、全世代型社会保障構築に向けての「基本的考え方」を提出した。
 年末の「報告」取りまとめにあたって、「基本的考え方」で今後の人口動向や社会の変容を明らかにし、それにもとづく「全世代型社会保障」のめざす社会の具体的な将来像と、その実現のために解決すべき課題を国民に分かりやすく示す必要があると主張。

2023年、2024年を見据えた短期的課題、2040年を視野に入れた中長期的な課題について、「時間軸」と「地域軸」を踏まえ計画的に取り組みを進めていけるよう、具体的な課題解決と整合的な社会保障制度の全体像を明示するとした。

その際に大切なのは、「国民は年齢に関わりなくその負担能力に応じて負担し、かつ必要に応じて給付を受ける」という「全世代型」の基本理念だと強調。人口動態を含む経済社会の構造変化のもとで、持続可能な制度を各分野で確立するための対応についてしっかり議論し、提言をまとめていくとした。

他方、清家座長は、年末の「報告」取りまとめに向け、次回会合で論点を整理する意向を示し、各検討チームの主査に協力を要請した。

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