健保ニュース
健保ニュース 2022年10月中旬号
佐野副会長が健保組合の取組状況を報告
コラボヘルスの重要性を強調
特定保健指導実施率の向上に効果
健保連の佐野雅宏副会長は、日本健康会議の「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」を踏まえた健保組合の取り組み状況を報告した。
佐野副会長は、「保険者とともに健康経営に取り組む企業等を10万社以上」とする「宣言3」について、2022年度に大規模法人部門は2299法人(前年度1801法人)、中小規模法人部門は12万6741法人(同5万8597法人)と目標を達成し、昨年度からそれぞれ1.28倍、2.16倍に大きく伸びたと評価。
新たな実行宣言が昨年スタートし、「2年目ですでに目標を達成していることになる」との認識を示す一方、引き続き、加入者が活躍できる健康な職場づくりをめざしていくとした。
健康経営優良法人の2022年における認定数は大規模部門と中小規模部門の合計1万4554法人で、制度創設時の2017年から約26倍に増加していると指摘し、中小企業の健康経営優良法人の認定について、さらなる広がりを期待。
佐野副会長は、「企業の健康経営の取り組みと共同して保険者の予防・健康づくりを推進することが健康経営の実効性を高める鍵となる」と主張したうえで、健保組合のコラボヘルスの取り組み状況を説明した。
健保組合の約9割は事業主とのコラボヘルスを実施していると強調。特定健診・特定保健指導実施率の相関をみると、コラボヘルスを実施している健保組合は最上位または上位に位置する割合が51.7%と過半数を超える一方、コラボヘルスを実施していない健保組合は下位または最下位に位置する割合が48.9%となっている状況から、「コラボヘルスを実施している健保組合ほど総合評価がよい傾向がある」とした。
また、健保組合が掲げる特定保健指導の実施率の目標値を達成した621組合のうち、コラボヘルスを実施している割合は573組合で、目標を達成している健保組合の9割以上がコラボヘルスによる事業展開を行っていると報告した。
さらに、特定保健指導実施率の高いグループのコラボヘルスの内容をみると、8割は事業主と合意のもと就業時間内に特定保健指導を実施していると説明。中堅中小企業を中心に多くの事業主を抱えている総合健保も、就業時間内の実施の可否が実施率に顕著に影響していることから、「コラボヘルスが特定保健指導実施率の引き上げに大きく寄与している」と言及し、その重要性を訴えた。
健保組合におけるコラボヘルスは、新型コロナウイルス感染症のまん延防止に大きく寄与したことも紹介した。
インフルエンザワクチン接種など普段から事業主と連携して感染症対策を講じているスキームや健保会館、診療所といった施設を活用することで、新型コロナワクチンの職域接種を短期間で実施できたと評価。
日常的なコラボヘルス体制による事業実施で事業主との関係性を構築できていたからこそ短期間での実現に結び付いたと述べ、「全世界的なパンデミックに対しても健保組合の強みが発揮できた」との認識を示した。
健保組合・健保連は、「健康づくりに取り組む5つの実行宣言2025」の達成に向け、感染症の不安と共存する社会でもデジタル技術の活用により、官民あげた予防・健康づくりが後退しないよう、強力に保健事業を推進していくとした。