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健保ニュース 2022年10月中旬号

医療保険部会が制度改革に着手
議論整理し全社へ年内報告
佐野副会長 現役世代の負担軽減を実現

社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国明国立社会保障・人口問題研究所所長)は9月29日、前日に開催された全世代型社会保障構築会議の方針を受け、出産育児一時金の大幅な増額を医療保険全体で支え合う仕組みや被用者保険者間の格差是正の方策など制度改革の議論に着手した。10月以降、▽全世代型社保会議の議論▽改革工程表─を踏まえ検討する項目について、月2~3回程度議論。12月に議論を整理し、年内に全社会議に報告する。健保連の佐野雅宏副会長は、今回の医療保険制度改革は現役世代の負担軽減が最大の目的と強調し、全体として負担軽減となる改革の実現を訴えた。

9月28日に開催された政府の全世代型社会保障構築会議は、医療・介護制度の改革のうち、医療保険関係は、▽出産育児一時金の大幅な増額を医療保険全体で支え合うこと▽後期高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金のあり方▽被用者保険者間の格差是正の方策▽医療費の伸びを適正化するため、給付の効率化を含めたより実効的な取り組み─について検討する方針を決めた。

出産育児一時金の大幅な増額は、後期高齢者も含む医療保険全体で支え合う仕組みを検討する。高齢者医療制度への支援金のあり方は、現役世代の負担上昇の抑制を図るための対応を検討。被用者保険者間の格差是正の方策は、現行の前期高齢者納付金の財政調整の仕組みについて検討を進める。

また、全世代型社会保障構築会議から、医療保険関係の制度改革は、厚生労働省の関係審議会で具体的な検討を進めるとともに、適切なタイミングで同会議に報告するよう厚労省に指示。

これを踏まえ、社会保障審議会医療保険部会は、翌日に医療保険制度改革に向けた議論に着手し、負担能力に応じてすべての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化する検討を進めていくこととした。

厚労省は、▽全世代型社会保障構築会議における議論を踏まえ検討する項目▽改革工程表を踏まえ議論する項目▽その他の項目─について、月2~3回程度議論し、12月に取りまとめる検討スケジュールを示した。改革内容に応じ、来年の通常国会に提出する改正法案への対応も視野に入れる。

健保連の佐野雅宏副会長は、「今回の医療保険制度改革の最大の目的は現役世代の負担軽減だ」と強調し、「何としても全体として負担軽減となる改革とするべき」との考えを示した。

そのうえで、出産育児一時金の大幅な増額は、「政府が進める少子化対策には賛成」と述べる一方、仮に出産育児一時金を引き上げる場合、現役世代の保険料だけでなく、全世代を対象に医療保険全体で支えるべきと主張。現役世代のさらなる負担軽減の観点から健保組合に対する財政支援も要請した。

高齢者医療制度への支援金のあり方については、「平成20年度と比べ、後期高齢者の1人当たり保険料(令和4年度見込)は1.2倍だが、現役世代の1人当たり支援金(同)は1.7倍と歪な構造になっている」と問題提起。

高齢世代の1号被保険者と現役世代の2号被保険者の人口比で保険料を設定する仕組みの介護保険では、両世代の保険料の伸びは同水準になっていると指摘し、公平性の観点から後期高齢者の保険料負担割合を見直す必要があるとした。

医療費の適正化に向けては、長期投薬の是正に向けた電子処方箋の活用や病状が安定した患者に対するリフィル処方の活用、フォーミュラリによる薬物治療の標準化などを訴えた。

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