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健保ニュース 2022年9月下旬号

令和3年度・高額医療交付金交付事業
1千万円以上超高額レセ 過去最多の1517件

健保連はこのほど、令和3年度の高額医療交付金交付事業の事業結果を公表した。
 それによると、患者1人当たりの1か月の医療費が1000万円以上の「超高額レセプト」は、前年度比152件増の1517件と過去最多を更新した。最高額は1億6852万7260円だった。また、2000万円以上の件数は、同1件減の162件、5000万円以上の件数は7件(2年度は9件)と概ね前年度並みの水準で推移し、医療費の高額化傾向を示す結果となった。

3年度は1億円以上の件数が7件あり、これらの傷病名は全て「脊髄性筋萎縮症」で、その治療用の高額医薬品「ゾルゲンスマ」の投与によるもの。

超高額レセプト上位100件を疾患別にみると、悪性腫瘍=49件(前年度比25件増)が最も多く、循環器系疾患=22件(同16件減)、血液疾患=3件(同7件減)、先天性疾患=1件(同1件増)、その他=25件(同3件減)となっている。悪性腫瘍が増加した理由は、白血病等がん治療用の高額医薬品「キムリア」が元年5月に、またその類似薬の「ブレヤンジ」が3年5月に保険収載されたことが要因として挙げられる。

健保連の高額医療交付金交付事業は、高額医療費の発生による健保組合財政への影響を緩和するため、昭和50年度に任意事業として創設。56年度からは法定事業となり現在に至っている。

同事業は、各健保組合が拠出する「財政調整事業拠出金」(標準報酬年総額の千分の1.3相当)のうち千分の1.0(ただし、平成28年度から特例として千分の1.1)に相当する額を財源に、全健保組合の共同事業として運営されている。

令和3年度は、2年11月~3年10月診療分(過年度分を含む)のレセプトのうち、1か月の医療費が交付基準である120万円(人工腎臓を実施している慢性腎不全、血友病などの特定疾病は40万円)を超える高額レセプトを対象に事業を実施した。

その結果、1378組合から申請があった35万6387件を対象に約1289億円を交付。前年度(34万1436件、約1266億円)に比べ、件数は1万4951件、4.4%増加し、交付金額は約23億円、1.8%増加した。

なお、3年度は拠出金収入(交付財源)を上回る申請があったため、400万円以下部分について交付率52%(前年度60%)を乗じ、400万円超部分は交付率を乗じず100%交付した結果、全体では平均62%の交付率となっている。

金額階級別の交付件数は、▽40万円超100万円未満=9万3070件(前年度比3.70%減、申請件数全体の26.1%)▽100万円以上200万円未満=17万1019件(同6.35%増、同48.0%)▽200万円以上300万円未満=5万5387件(同9.20%増、同15.5%)▽300万円以上400万円未満=1万6985件(同9.23%増、同4.8%)▽400万円以上500万円未満=8591件(同10.57%増、同2.4%)▽500万円以上1000万円未満=9818件(同14.52%増、同2.8%)▽1000万円以上2000万円未満=1355件(同12.73%増、同0.38%)▽2000万円以上=162件(同0.61%減、同0.05%)─で、100万円以上2000万円未満はいずれも前年より件数が増えたため全体の件数も前年より増加した。

令和3年度 高額レセプト上位の概要(PDF)

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