健保ニュース
健保ニュース 2022年9月上旬号
公明厚労部会が概算要求へ重点政策
コロナ禍財政窮迫健保組合への支援など提言
高齢者医療の拠出金負担軽減も
公明党の厚生労働部会(佐藤英道部会長)は8月19日、加藤勝信厚労相に令和5年度予算概算要求に向けた重点政策提言を申し入れた。
提言は、5年度予算概算要求にあたり、新型コロナウイルス感染拡大防止対策の推進のほか、全世代型社会保障の実現や質の高い効率的な保健・医療・介護サービスの推進などを重点施策に位置づけ、所要の予算の確保に努めるよう要望した。
このうち、全世代型社会保障の実現は、現役世代から高齢者まで誰もが安心できる持続可能な社会保障改革を実現するため、安定的な財源確保も含む幅広い検討の開始を求めた。
今後も高齢化の進展に伴い、社会保障給付費の伸びが見込まれる一方、社会保障を支える現役世代は減少を続ける状況にあると指摘し、給付と負担の見直しなど、社会保障の持続可能性の確保に向けた検討を進めるよう要望。
国民皆保険制度を維持するため、全世代で支え合う医療保険制度の構築を図るとともに、高齢者医療の拠出金負担軽減への財政支援の必要性を強調した。
すべての団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け社会保障関係費の伸びが見込まれる状況も踏まえつつ、国民の安心のための予算を確保する必要があるとした。
他方、質の高い効率的な保健・医療・介護サービスの推進は、必要な時に必要な医療にアクセスできることの重要性がコロナ禍で改めて認識されたことを踏まえ、「かかりつけ医機能」の強化に向けた取り組みの推進を盛り込んだ。
マイナンバーカードの活用や電子処方箋、電子カルテ情報等の標準化などにより、効率的な医療の提供や患者の利便性向上につなげる必要性を指摘。医療のデジタル化を進めるため、基盤整備期間中は国が必要な財政支援を行うべきとした。
さらに、コロナ禍の影響等で保険料収入が減少し厳しい財政状況に置かれている健保組合への必要な支援を訴えた。
また、健康寿命の延伸に向けて、加入者の予防・健康づくり、企業と連携したコラボヘルス等に医療保険者は重要な役割を担っていると評価したうえで、「その保険者機能が十分に発揮されるよう、必要な支援を行うこと」と明記した。
このほか、出産育児一時金を増額するとともに、出産にかかる費用やサービスの「見える化」を図り、安心して出産できる環境整備を進めることを要望。
流通上の差益を参考にした現行の薬価改定手法の見直し、中間年度改定の取り止めなど、薬価の過度な引き下げが起こらない仕組みの検討も求めた。