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健保ニュース 2022年8月下旬号

中医協が診療報酬改定案を答申
マイナ保険証推進へ加算新設
患者の視点を附帯意見に明記

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は10日、オンライン資格確認導入の原則義務化に伴う診療報酬上の加算の取り扱いを後藤茂之厚生労働相に答申した。令和4年度診療報酬改定で導入した現行加算を廃止し、10月から新加算を創設。オン資確認の体制を有する医療機関でマイナンバーカードと一体化した健康保険証を利用する患者の負担を減らす一方、通常の保険証を利用する患者の負担を増やす。オン資確認の体制を有しない医療機関を受診する患者の追加的な負担は生じない。新加算の評価に課題が生じた場合、患者・国民の意見を踏まえ対応する内容が答申書附帯意見に明記された。

政府が6月7日に閣議決定した「骨太方針2022」は、医療機関・薬局にオンライン資格確認の導入を令和5年4月から原則義務化するとともに、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、支援措置を見直す対応について明記し、診療報酬上の加算の取り扱いは中医協で検討することとされた。

このため、後藤茂之厚生労働相は、8月3日の中医協総会に、「医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の義務付けおよびこれに伴う診療報酬上の加算の取り扱い」について諮問し、同日の会合では、厚労省が提示した医療DX対応の論点にもとづき議論した。

他方、この日の会合では、厚労省がオンライン資格確認の導入の原則義務付けに加え、医療機関・薬局で診療情報を取得・活用し質の高い医療を実施する体制の具体的な評価について提案。

オンライン資格確認は、保険医療機関および保険医療養担当規則を見直し、紙レセプトによる請求が認められている医療機関・薬局を除いて来年4月から導入を義務化する。

これに伴い、4年度診療報酬改定で導入したオンライン資格確認等システムを通じた情報活用にかかる「電子的保健医療情報活用加算」を廃止したうえで、今年10月から初診時等における診療情報取得・活用体制の充実にかかる「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設するとした。

診療報酬上の加算の取り扱いに対し、支払側は10月施行を前提とせず、現行の加算を一旦凍結することも含め、国民・患者の声を聴取したうえで議論すべきと指摘し、「拙速な結論は到底容認できない」と訴えた。

一方、診療側は、厚労省の提案に賛成し、原則義務化を契機に10月から加算の点数を見直すのは当然のことと強調。そのうえで、「中医協としても不退転の決意でこの取り組みを進めていくべき」との考えを示した。

両側の意見を踏まえ、厚労省が、▽新加算の評価のあり方について、算定状況や導入状況も踏まえつつ、患者・国民の声をよく聴き、課題が把握された場合には速やかに対応を検討する▽オンライン資格確認を医療DXの基盤として患者・国民に広く浸透するよう、関係者が連携して周知を図っていく─ことなど、積み残し課題を盛り込んだ答申書附帯意見案を作成。

支払側は、答申書附帯意見の内容が担保されることを前提として、10月からの加算の見直しを受け入れた。

その後、厚労省は新加算について、オンライン資格確認を行う体制を有する医療機関・薬局を受診した患者がマイナンバーカードと一体化した健康保険証(マイナ保険証)を利用する場合は初診に2点(調剤は6か月に1回1点)、利用しない場合は初診に4点(同3点)を上乗せする答申案を作成。

国民の批判等を踏まえ、▽マイナ保険証を利用する場合の初診に7点、再診に4点(調剤は1か月に1回3点)▽マイナ保険証を利用しない場合の初診に3点(同3か月に1回1点)─を上乗せしていた現行加算の仕組みを改めた。

なお、今年の7月末時点でオンライン資格確認の運用を開始している医療機関・薬局は26.1%にとどまっているが、患者がオンライン資格確認を行う体制を有していない医療機関・薬局を受診した場合、加算は上乗せされず、追加的な負担は患者に発生しない。

オンライン資格確認を行う体制を有する医療機関・薬局でマイナ保険証を利用しない場合に患者の負担が増えることや、オンライン資格確認を行う体制を有していない医療機関・薬局を受診した場合は患者の追加的な負担が生じないなど、新たな課題も積み残された。

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