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健保ニュース 2022年8月合併号

柔整請求代行業者への対応など
今後の審査・支払いを議論

社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会(座長・遠藤久夫学習院大学経済学部教授)は7月14日、公的な関与の下での請求・審査・支払いとオンライン請求の導入についてのこれまでの議論と今後の進め方について議論した。

健保連の幸野庄司参与は、大きな方向性としては了解しつつも、厚生労働省のこれまでの提案のなかで示された、①保険者による支給決定や過誤調整の取り扱いについて、療養の給付と同様の業務処理とする②柔整審査会に審査を委託していない保険者の取扱いについて、保険者は審査・支払いを審査支払機関に委託することを基本とする─等の検討の方向性については、改めて反対を表明し、合意されていないことを確認した。

そのうえで、こうした方向性や考え方などは、健保法第87条に示された療養費の取り扱いを逸脱しており、健保法上療養費の審査・支払いの決定や、審査業務を委託するかどうかの判断の権限は保険者にあると述べ、同法第87条の趣旨を遵守し再度検討すべきと主張した。さらに今後の進め方について、実務についての技術的な検討はワーキンググループにおいて効率的に進め、本質的な議論となる審査・支払い業務の委託費用や柔整審査会の在り方等については、引き続き本検討専門委員会で進めていくべきとの見解を示した。

施術管理者が委託
不能な業務の明確化を

またこの日の2つ目の議題として、オンライン請求導入までの間の「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」について議論した。

受領委任協定・契約に基づく柔整療養費の請求は、各施術管理者から各保険者に対して行う必要があり、請求ルートが多く複雑なため、施術管理者のなかには請求事務を請求代行業者に委託するケースもある。請求代行業者の中には悪質な団体が存在し、療養費を私的に流用してしまい、柔整療養費が施術管理者に支払われない事案も発生している。

請求代行業者は、柔整療養費における受領委任規程の当事者ではないため、問題が発生しても地方厚生局などによる指導・監査等が行われず、チェック機能が働かない。こうした現状を踏まえ、厚生労働省は、施術管理者が外部委託できない業務として、①療養費の支払いを受けること(保険者からの支払口座を施術管理者名義の口座に限定)②支給申請書の返戻の送付を受けること③支給申請書の作成④施術録の記載・管理─を受領委任協定・契約に明確化すること。また施術管理者が請求代行業務を委託する団体を厚生労働省に事前登録された団体に限定すること─等の対応策を示した。

健保連の幸野庄司参与は、①の取り扱いについて保険者、施術管理者双方に過大な事務負担等が生じることを指摘し、支払基金による振込統合などの仕組みが構築されることを前提に厚労省の案について一定の理解を示した。また、請求代行業者を厚生労働省に事前登録することについては、厚生労働省が請求代行業者に対する指導監査が確実に行われ、その内容が実効性を伴うものであると判断できれば検討に値するとの考えを述べた。

さらに、施術管理者が外部委託できない業務として、①~④のほかに、支給決定などに係る保険者等への照会や異議などについては、請求代行業者に委託することはできないという事項も加えるよう厚生労働省へ求め、当該登録により請求代行業者のこのような行為が正当化されるようなことがあってはならないと強く牽制した。そのうえで、登録の要件設定のみならず、欠格要件についても明示するよう要望した。

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