健保ニュース
健保ニュース 2022年7月下旬号
2年度健保組合メンタル疾患調査
外来有病者は女性の方が低年齢
1人当たり外来医療費 気分障害が最も高く
健保連はこのほど、「令和2年度被保険者のメンタル系疾患に関するレポート」をまとめ、公表した。
本レポートは、職場のメンタルヘルス対策の観点から、1250健保組合の被保険者(約1452万人)の医科・調剤の電算処理レセプト(1億1905万件)をもとに、▽統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害▽気分〔感情〕障害(躁うつ病を含む)▽神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害─の有病者数や医療費を分析した。
それによると、メンタル系疾患の医科入院外における有病者は、40~49歳の働き盛り世代が最も多かったが、男性に比べ女性の年齢階層は低い傾向にあることが明らかになった。
また、医科入院外の1人当たり医療費は「気分障害」が「2664円」と最も高く、「統合失調症等」と「神経症性障害等」は「40~44歳」の女性、「気分障害」は「50~54歳」の男性で高いことがわかった。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は、「統合失調症等」と「気分障害」は男性、「神経症性障害等」は女性で高かった。
統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」の医科入院外における有病者数の割合は年間平均0.48%(男性0.47%、女性0.51%)で、女性の割合が高かった。
年齢階級別にみた医科入院外の有病者数は、男性は「40~49歳」が最も多く、次いで、「50~59歳」、「30~39歳」の順となっており、「40~59歳」で全体の6割を占めた。女性は「40~49歳」、「30~39歳」、「20~29歳」の順となっており、「30~49歳」で全体の約6割を占め、男性より年齢階層が低い傾向が示された。
医科入院外の1人当たり医療費は453円(男性444円、女性470円)。1人当たり医療費を3要素に分解すると、▽受診率(千人当たり件数)58.1件(男性56.3件、女性61.5件)▽1件当たり日数1.6日(男性1.6日、女性1.5日)▽1日当たり医療費5033円(男性5079円、女性4953円)─となっており、男性は女性に比べ受診率は低いが、1日当たり医療費は高い。
年齢階級別にみた医科入院外の1人当たり医療費は、「40~44歳」が592円と最も高く、次いで、「45~49歳」の565円、「35~39歳」の548円と続く。男女別にみると、男性は「40~44歳」、「45~49歳」、女性は「40~44歳」、「35~39歳」の順で高く、女性は比較的若い年齢で高い傾向が示された。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は57万1288円(男性57万4181円、女性56万5853円)となっており、男性が高い。また、平均在院日数(推計)は55.5日(男性61.0日、女性45.2日)で、男性が長かった。
気分〔感情〕障害(躁うつ病を含む)
「気分〔感情〕障害(躁うつ病を含む)」の医科入院外における有病者の割合は年間平均2.11%(男性2.11%、女性2.10%)で、男性の割合が高かった。
年齢階層別にみた医科入院外の有病者数は、男性が「40~49歳」、「50~59歳」、「30~39歳」の順に多く、「40~59歳」で全体の6割以上を占めた。女性は「40~49歳」、「30~39歳」、「20~29歳」の順で、「30~49歳」で全体の5割以上を占めており、全体に占める年齢階層は男性に比べ低い。
医科入院外の1人当たり医療費は2664円(男性2737円、女性2527円)で、男性が高い。1人当たり医療費を3要素に分解すると、▽受診率(千人当たり件数)256.6日(男性257.4件、女性255.1件)▽1件当たり日数1.5日(男女同)▽1日当たり医療費7023円(男性7208円、女性6673円)─で、受診率と1日当たり医療費の高さが男性の1人当たり医療費が高い要因となっている。
年齢階級別にみた医科入院外の1人当たり医療費は、「50~54歳」が3399円と最も高く、次いで、「45~49歳」の3274円、「40~44歳」の3124円と続く。男女別にみると、男性は「50~54歳」、「45~49歳」、女性は「40~44歳」、「35~39歳」の順で高くなっている。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は26万4067円(男性26万5437円、女性26万1354円)で、男性が高い。 また、平均在院日数(推計)も39.9日(男性42.4日、女性34.9日)で、男性が長かった。
神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」の医科入院外における有病者の割合は年間平均1.87%(男性1.74%、女性2.12%)で、女性の割合が高かった。
年齢階層別にみた医科入院外の有病者数は、男性が「40~49歳」、「50~59歳」、「30~39歳」の順に多く、「40~59歳」で全体の約6割を占めた。女性は「40~49歳」、「30~39歳」、「50~59歳」の順で、女性は「30~49歳」で全体の5割以上を占めており、男性に比べ年齢階層が低い傾向が示された。
医科入院外の1人当たり医療費は619円(男性550円、女性751円)で、女性が高い。1人当たり医療費を3要素に分解すると、▽受診率(千人当たり)229.2件(男性212.7件、女性260.4件)▽1件当たり日数1.4日(男女同)▽1日当たり医療費1894円(男性1819円、女性2009円)で、受診率と1日当たり医療費は女性が男性を大きく上回り、1人当たり医療費が高い要因となっている。
年齢階級別にみた医科入院外の1人当たり医療費は、「40~44歳」が695円と最も高く、次いで、「45~49歳」の679円、「50~54歳」の669円と続く。男女別にみると、男性は「50~54歳」、「40~44歳」、「45~49歳」、女性は「40~44歳」、「45~49歳」、「35~39歳」の順で高く、女性は比較的若い年齢層で高い傾向が示された。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は4万6284円(男性4万4321円、女性4万8997円)で、女性が高い。一方、平均在院日数(推計)は26.7日(男性30.1日、女21.8日)で、男性が長かった。