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健保ニュース 2022年7月中旬号

2年度健保組合医療費の動向
コロナ受診控え 前年度比▲4.8%
外来▲6.6%、入院▲5.8%

健保連はこのほど、「令和2年度健保組合医療費の動向に関する調査」を公表した。
 それによると、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による患者の受診控え等の影響で、2年度の医療費総額は前年度比▲4.8%(2235億円)の4兆4112億円に減少していることがわかった。

2年度の1人当たり医療費は、本人が同▲1.9%、家族が同▲8.4%、前期高齢者が同▲3.6%といずれも減少。

他方、疾病19分類別の1人当たり医療費は、呼吸器系疾患が同▲34.9%と大きく減少する一方、皮膚・皮下組織疾患は5.8%増加した。

第Ⅰ部「令和2年度健保組合医療費の概況」は、1387組合の加入者2879万641人(本人1631万2865人、家族1212万8134人、70~74歳の高齢者34万9642人)のレセプト(2億9892万9038件)をもとに分析した。

2年度の医療費総額は4兆4112億円で、前年度比▲4.8%、2235億円減少した。
 診療区分別にみると、▽医科入院1兆1146億円(前年度比▲5.8%)▽医科入院外1兆8032億円(同▲6.6%)▽歯科5709億円(同0.9%)▽調剤9043億円(同▲3.9%)▽訪問看護療養費181億円(同21.1%)─で、医科の減少幅が大きい。

1人当たり医療費は、▽医科入院3万8716円(同▲5.5%)▽医科入院外6万2633円(同▲6.3%)▽歯科1万9828円(同1.2%)▽調剤3万1411円(同▲3.6%)─となり、歯科以外は減少した。

医療費3要素をみると、「受診率(件/千人)」が、▽医科入院72.9(同▲8.7%)▽医科入院外5328.2(同▲12.9%)▽歯科1619.0(同▲5.5%)▽調剤3362.8(同▲12.8%)─。

「1件当たり日数」が、▽医科入院8.4日(同▲1.2%)▽医科入院外1.4日(同▲1.4%)▽歯科1.6日(同0.6%)▽調剤1.2日(同▲2.5%)─。

「1日当たり医療費」が、▽医科入院6万2965円(同4.7%)▽医科入院外8549円(同8.6%)▽歯科7623円(同6.4%)▽調剤7991円(同13.3%)─。

「受診率」がいずれも大幅に減少する一方、「1日当たり医療費」はいずれも大幅に増加。また、「1件当たり日数」は、歯科を除き減少した。

1人当たり医療費は
▲4.7%の14.5万円

第Ⅱ部「令和2年度医療費の動向:健保連調査」は、1250組合の加入者2510万7907人(本人1451万8174人、家族1058万9790人)の電算処理レセプト2億5662万1980件をもとに分析した。

2年度の1人当たり医療費は14万5036円となり、前年度に比べ▲4.7%減少した。医科入院外と歯科入院が同▲6.3%と最も大きく減少し、次いで、医科入院の同▲6.0%と続く。年齢階層別では、「0~4歳(前年度比▲19.1%)」、「5~9歳(同▲15.6%)」、「10~14歳(同▲6.9%)」、「70~74歳(同▲4.8%)」で大幅に減少した。

本人は、同▲1.9%の14万7636円で、歯科入院(同▲8.1%)、医科入院(同▲3.6%)、医科入院外(同▲2.8%)の一方、歯科入院外は同3.1%増加。

家族は、同▲8.4%の14万1471円に減少し、2年度は本人よりも低くなった。医科入院外(同▲11.1%)、医科入院(同▲9.0%)、調剤(同▲6.5%)で大きく減少した。

前期高齢者は、同▲3.6%の39万9574円で、歯科入院が▲23.2%と大幅に減少。医科入院(同▲4.5%)、医科入院外(同▲3.9%)の減少幅も大きくなっている。

疾病別医療費構成割合
呼吸器低下し新生物最多

健保連調査による疾病19分類別医療費は、1枚のレセプトに記載された1ないし複数の傷病名に対して、各傷病名に結び付く診療行為や薬剤点数を分配し、医療費を疾病ごとに振り分けた結果をもとに分析した。

医科計(1250組合:3兆491億円)における疾病19分類別医療費の構成割合をみると、「新生物」が12.7%と最も多く、次いで、「内分泌・栄養・代謝疾患」(10.1%)、「循環器系疾患」(10.0%)、「呼吸器系疾患」(10.0%)、「消化器系疾患」(7.8%)の上位5疾病で全体の50.6%を占めた。

前年度調査で14.3%と最も多くを占めた「呼吸器系疾患」の割合は大きく低下した。
 医科入院は、▽新生物(20.4%)▽循環器系疾患(16.6%)▽消化器系疾患(8.5%)▽損傷・中毒・外因性(7.7%)▽筋骨格系・結合組織(6.5%)─の上位5疾病で全体の59.7%。

医科入院外は、▽内分泌・栄養・代謝疾患(12.7%)▽呼吸器系疾患(11.8%)▽新生物(10.0%)▽皮膚・皮下組織疾患(8.1%)▽循環器系疾患(7.8%)─の5疾病で全体の50.4%を占めた。

1人当たり医療費は新生物が1万5383円と最も高く、次いで、内分泌・栄養・代謝疾患(1万2274円)、循環器系疾患(1万2205円)と続く。

前年度に比べ、呼吸器系疾患の▲34.9%のほか、耳・乳様突起疾患(前年度比▲17.2%)、感染症・寄生虫症(同▲16.2%)などで大きなマイナスの伸び率となった。

医科入院では、呼吸器系疾患の同▲34.6%を初め、すべての疾患で伸び率が減少。医科入院外は、呼吸器系疾患が同▲34.9%減少する一方、血液・造血器・免疫障害は8.6%増加した。

医療費3要素の伸び率をみると、「受診率」の呼吸器系疾患(同▲34.8%)と「1件当たり日数」の耳・乳様突起疾患(同▲7.4%)が大きく減少する一方、「1日当たり医療費」は耳・乳様突起疾患が同12.7%と大きく増加した。

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