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健保ニュース 2022年7月中旬号

協会けんぽ令和3年度決算見込
収支差2991億円 12年連続の黒字
準備金4.3兆円で5.2月分

全国健康保険協会(安藤伸樹理事長)は1日、協会けんぽの令和3年度決算見込を発表した。

収入総額は11兆1280億円(前年度比3.4%増)、支出総額は10兆8289億円(同6.7%増)で、収支差は2991億円の単年度黒字を計上。準備金残高は4兆3094億円と過去最高を更新した。

12年連続の黒字を計上したが、収入に対し支出の増加額が上回ったため、収支差は前年度から3192億円減少した。

準備金残高は4兆3094億円に拡大し、この金額は保険給付費や拠出金の支出に備えて積み立てなければならない法定水準(義務的経費1か月分)の5.2か月分に相当する。

全国健康保険協会は、3年度決算見込について、2年度に新型コロナウイルス感染症の影響に伴い変化した加入者の受診動向によって減少した医療費が、コロナ禍前を上回る水準で伸びた結果、「黒字幅が前年度と比較して大幅に縮小した」と説明。

今後の収入については、被保険者数の伸びが鈍化傾向にあることや、経済状況が不透明であることを鑑みると、コロナ禍前のような保険料収入の増加が今後も続くとは考え難いとした一方、支出面では医療給付費がコロナ禍前の水準を超えて推移していると主張した。

さらに、5年度以降、後期高齢者支援金の大幅な増加が見込まれること等も踏まえると、「協会けんぽの財政はこれまで以上に楽観を許さない状況である」と総括している。

保険料特例猶予分が納付
収入が3630億円増

収入は、保険料収入9兆8553億円、国庫補助等1兆2463億円、その他が264億円の総額11兆1280億円で、前年度と比べ3630億円の増収となった。

増収の要因として、被保険者数や賃金の増加により保険料収入が増えたことがあげられた。さらに、新型コロナの影響に対応するため特例的に保険料の納付が猶予される措置によって、2年度に猶予された保険料が3年度に納付されたことも主な要因とした。

被保険者数は平成29年9月をピークに鈍化傾向が続いており、令和3年度は前年度比1.0%増の2511万人となった。

平均標準報酬月額は29万2220円で、3年度は9月の定時決定以降の前年同月比の伸びがプラスで推移したため、前年度比0.6%伸びた。

保険給付費等が対象となる国庫補助等は、減額特例措置により減額される額が増加したため、277億円減少した。

医療費の伸びは過去最高
支出が6822億円増

支出は、保険給付費6兆7017億円、拠出金等3兆7138億円、その他4134億円の総額10兆8289億円で、前年度から6822億円の増加となった。

支出の増加要因として、支出の6割超を占める保険給付費の伸びがあげられた。
 これは、令和2年度に新型コロナの影響に伴う加入者の受診動向の変化等により「医療費(加入者1人当たり医療給付費)」が3.5%減少したが、その反動増等により3年度の「医療費(同)」が8.6%増加したことが主な要因。この「医療費(同)」の伸びは、平成20年10月の協会けんぽ発足以来、最高の水準となった。

加入者は4035万人(前年度比0.1%増)、扶養率は0.607%(同0.013ポイント減)となった。加入者1人当たり保険給付費は16万6068円(同8.2%増)で、このうち現金給付を除く医療給付費が15万162円(同8.6%増)。

拠出金等は、前期高齢者納付金が1兆5541億円、後期高齢者支援金が2兆1596億円、退職者給付拠出金が1億円の全体で3兆7138億円(同1.4%増)、前年度から515億円の増加となった。

全国健康保険協会は、拠出金が小幅な増加にとどまった要因について、人口の年齢構成の影響で後期高齢者の人数の伸びが一時的に鈍化することを主な要因とした。

後期高齢者支援金については、団塊の世代が後期高齢者になり始める5年度以降、大幅に増加し、7年度には3年度と比較して4300億円程度の負担増を見込んでいる。

全国健保協会3年度決算
介護保険分を含めた収支差は3567億円

全国健康保険協会は介護保険分を含めた令和3年度決算報告書の概要も公表した。
 収入は保険料等交付金10兆8429億円、任意継続被保険者保険料730億円、国庫補助等1兆2463億円、その他230億円の総額12兆1852億円で、このうち介護分が保険料等交付金1兆853億円、任継保険料44億円の計1兆897億円を占めた。

支出は、保険給付費6兆7017億円、拠出金等3兆7138億円、介護納付金1兆291億円、業務経費・一般管理費2047億円、その他1792億円の総額11兆8285億円で、このうち介護分が介護納付金1兆291億円、その他55億円の計1兆345億円だった。

その結果、単年度収支差は医療分が3016億円の黒字、介護分が551億円の黒字で、全体として3567億円の黒字となった。

医療分の収支差が協会けんぽ決算と異なるのは、国に留保されている保険料の交付が年度をまたぐことが理由。前年度の未交付分117億円が3年度に交付され、3年度の未交付分93億円が翌年度に交付されることになる。

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