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健保ニュース

健保ニュース 2022年6月下旬号

令和2年度健保組合事業状況調査
保険証発行枚数464万枚
出産一時金 中央値42万円、最高額百万円超

厚生労働省は5月31日、「令和2年度健康保険組合事業状況調査」の結果を取りまとめ、健保組合宛に事務連絡で報告した。

調査は、今後の健康保険組合の事業運営に関する施策等の検討に活用することなどを目的としているもので、今回は2年度の事業を対象に実施。1191組合からの回答を集計した。

保険証発行コスト
100円以内が過半数

マイナンバーカードで電子資格確認が可能となるなか、従来の被保険者証の発行枚数は、1096組合で464万枚にのぼった。1枚当たりの発行コストは、1~50円が399組合(全体の34%)、51~100円が345組合(同29%)、101~150円が175組合(同15%)と低額に抑えている組合が多い傾向だが、最も高額な回答の151円以上が212組合(同18%)と2割を占めた。

政府が7日に閣議決定した「骨太の方針2022」で増額が打ち出された出産育児一時金については、受取代理制度による請求があった健保組合における中央値が42万円で産科医療補償制度対象出産の場合の支給額と同額だった。平均値は43万9287円で、最高額が200万円を超えるなど高額な出産費用が、平均値を押し上げている実態がうかがえる。直接支払制度、受取代理制度のいずれも利用しない現金給付の場合でも、中央値42万円、平均値43万7215円、最高額140万円と、受取代理制度の場合と同様の傾向がみられた。

任意継続被保険者は、改正健保法の施行により4年1月から被保険者の申請で資格喪失が可能となるなどの見直しが行われた。任継被保険者の標準報酬月額については従来、退職者の退職時標準報酬月額(①)、全被保険者の平均の標準報酬月額(②)のうち、いずれか低い額とされていた。これに対する法改正を踏まえた規約変更の状況をみると、①の額が②を超えた場合、「①の額」と変更した健保組合は165組合、「①と②の間の範囲内で設定された額」と変更した健保組合が30組合だった。この規約変更の実施時期は、3年度中が165組合、4年度中が30組合で、検討中が64組合となっている。

後発医薬品使用促進
ほぼ全ての組合が実施

政府が目標を立てて使用促進を図っている後発医薬品については、ほぼ全て(1143組合、全体の96%)の健保組合が何らかの使用促進対策を実施。対策の内容は組合数が多い順に、後発医薬品差額通知の発出(943組合)、機関誌やホームページへの掲載(810組合)、後発医薬品希望シールの配布(722組合)などとなっている。このうち実施組合が最も多い差額通知は対象者別にみると、「全ての調剤レセプト対象者」が188組合で差額通知実施組合の20%を占めた。条件を設けて対象者を選定している健保組合は「変更による自己負担額の軽減金額が一定額以上となる者」が732組合で同78%、「一定年齢以上の者」が157組合で同17%、「生活習慣病治療薬等(先発品)を長期服用している者」が106組合で同11%などとなっている。

差額通知の通知手段は被保険者、被扶養者ともに、健保組合から紙で通知が5割、事業主経由で紙で通知が4割、健保組合から電子的(Webやメール)に通知が2割、事業主から電子的に通知が0.1割となっており、紙が主流だった。

薬剤費の減少額と差額通知にかかる費用の差額を可能な範囲で聞いたところ、7割を超える組合が未記載だったが、「1億円以上」と回答した組合(12組合)があったほか、「1千万円以上1億円未満」(55組合)、「1百万円以上1千万円未満」(111組合)までで過半数を占めた。

一般健診の対象者
年齢基準なしが最多

一般健診を実施している健保組合の年齢基準をみると、被保険者では回答が多い順に「年齢基準なし」(417組合)、「35歳以上」(89組合)、「40歳以上」(55組合)など。被扶養者では同様に「年齢基準なし」(132組合)、「35歳以上」(105組合)、「40歳以上」(100組合)などとなっている。

一般健診の費用に対する保険者の補助の状況は、「健保組合が全額負担」が被保険者119組合、被扶養者248組合、「健保組合が一部負担」が同429組合、同320組合、「なし」が同145組合、同35組合で、被扶養者のほうが対象年齢は狭いものの、費用補助は手厚い。

がん検診の実施状況をみると、被保険者は、▽胃がん検診が実施872組合、事業主と共同実施265組合▽肺がん検診が同758組合、同321組合▽大腸がん検診が同883組合、同260組合▽乳がん検診が同904組合、同176組合▽子宮がん検診が同930組合、同165組合▽上記以外のがん検診が同689組合、同162組合─。

被扶養者は、▽胃がん検診が同981組合、同62組合▽肺がん検診が同952組合、同69組合▽大腸がん検診が同1003組合、同63組合▽乳がん検診が同988組合、同58組合▽子宮がん検診が同1021組合、同53組合▽上記以外のがん検診が同640組合、同44組合─だった。

レセプト点検実施率99%
柔整審査実施率98%

レセプト点検を実施している健保組合は1182組合で、回答組合の99%を占めた。
 柔道整復師等に係る療養費支給申請書等については、▽療養費支給申請書等に関する審査が1172組合(回答組合の98%)▽患者に対する負傷原因等の照会が1138組合(同96%)▽施術者に対する照会が982組合(同82%)▽リーフレットの作成が936組合(同79%)─で実施されている。

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