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健保ニュース 2022年6月下旬号

「骨太方針2022」を閣議決定
かかりつけ医機能を制度整備
保険証発行選択制等 オン資導入策も明示

政府は7日の臨時閣議で、「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」を決定した。「骨太方針2022」は、持続可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取り組み方針を示し、短期と中長期の整合性を確保した経済財政運営と令和5年度予算編成の考え方を打ち出す。社会保障は、「かかりつけ医機能」が発揮される制度整備をはじめ、5年4月からオンライン資格確認の導入義務づけ、保険者による保険証発行の選択制導入や保険証の原則廃止など改革の方向性を明示。中長期的な改革事項を工程化したうえで、政府全体で取り組む。5月31日の原案から、OTC医薬品の拡大に向けたセルフメディケーションの推進も追記した。岸田文雄首相は、「参議院選挙後に、本日決定した方針を前に進めるための総合的な方策を具体化する」と言及。今後、年末の5年度予算編成過程や関係審議会等で社会保障改革に向けた検討が進められる。

「骨太方針2022」は、機動的なマクロ経済運営で経済回復を実現しながら、新しい資本主義の実現に向けた計画的で重点的な投資や規制・制度改革を行い、「成長と分配の好循環」を実現する岸田内閣の経済財政政策の全体像を示した。

中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営を行うため、「財政健全化の旗を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む」と明記した。

「成長と分配の好循環」を実現するためにも、全世代型社会保障は給付と負担のバランスを確保しつつ、若年期・壮年期・高齢期のそれぞれの世代で安心できるよう構築する必要があると指摘。

給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、能力に応じ皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージに応じ必要な保障をバランスよく確保するとした。

その際、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引き上げを含む保険料負担のあり方など、各保険制度における負担能力に応じた負担のあり方について総合的な検討を進める。

社会保障制度基盤の強化に向けては、今後の医療ニーズや人口動態の変化、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえ、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築。かかりつけ医機能が発揮される制度整備など、機能分化と連携を一層重視した医療提供体制の改革を国民目線から進めると強調した。

2023年、2024年を見据えた短期的・中長期的な課題を全世代型社会保障構築会議で整理し、中長期的な改革事項を工程化したうえで、政府全体で取り組む方針を示した。

社会保障分野の経済・財政一体改革を強化・推進するため、医療・介護費の適正化を進めるとともに、医療・介護分野でのDXを含む技術革新を通じたサービスの効率化・質を向上。

オンライン資格確認について、医療機関・薬局に令和5年4月から導入を原則として義務づけるとともに、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、診療報酬上の加算の取り扱いなど、関連する支援措置を見直す。

6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制導入、オンライン資格確認の導入状況を踏まえた保険証の原則廃止をめざす方針も盛り込んだ。

他方、▽全国医療情報プラットフォームの創設▽電子カルテ情報の標準化等▽診療報酬改定DX─の取り組みを行政と関係業界が一丸となって進めるため、総理を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」の設置を明記。

「診療報酬改定DX」は、デジタル時代に対応した診療報酬や、その改定に関する作業を大幅に効率化することにより、医療保険制度全体の運営コスト削減につなげる。他方、医療DXの推進を図るため、オンライン診療の活用も促進するとした。

社会保障改革については、5月31日に政府が示した「骨太方針2022」の原案から、与党との調整を経て、OTC医薬品・検査薬の拡大に向けた検討によるセルフメディケーションの推進とバイオシミラーの着実な推進を追記した。

このほか、妊娠・出産支援としての出産育児一時金の増額をはじめとする経済的負担の軽減に関する議論や、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討を進めていく方針も盛り込んだ。

新しい資本主義の実行計画
全看護師の処遇改善を検討

「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」は、必要不可欠な財政出動や税制改正は中長期的観点から機動的に行うこととし、①人への投資②科学技術・イノベーションへの投資③スタートアップへの投資④GXおよびDXへの投資─の4本柱に投資を重点化する。

このうち、①の看護師の処遇改善は、令和4年10月以降、収入を3%程度引き上げる措置の結果も踏まえつつ、すべての職種における看護師のキャリアアップに伴う処遇改善のあり方について検討する方針を明示。

他方、企業と保険者が連携して健康経営を推進するとともに、そのスコアリングの方法を見直す対応も盛り込んだ。

④はデジタルヘルスの普及へ、承認アプリを活用した際の診療報酬上の加算を行うと記載。また、マイナンバーカードについて、健康保険証としての利用等で国民の利便性向上を図るとともに、メリットの周知を通じ普及を加速するとした。

新しい資本主義実行計画を踏まえた取り組みの進捗と新たな取り組みを織り込んだ「フォローアップ」では、企業・保険者連携での予防・重症化予防・健康づくり(コラボヘルス)を一層深化させるため、健康スコアリングレポートの表示項目の追加や効果的な表示方法について4年度中に結論を得ると明記。

セルフケア・セルフメディケーションの推進に向け、4年度中に工程表を策定する方針も盛り込んだ。他方、遠隔医療の活用促進のため、4年度中に遠隔医療が果たす役割やさらなる活用のための基本方針を策定する。

7年3月を目指し、オンライン資格確認を導入した概ねすべての医療機関と薬局における電子処方箋システムの導入を支援するとした。

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