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健保ニュース 2022年6月中旬号

規制改革推進会議が答申取りまとめ
オンライン診療をさらに推進

政府の規制改革推進会議(議長・夏野剛近畿大学特別招聘教授情報学研究所長)は5月27日に会合を開き、規制改革推進に関する答申を決定した。改革を求める事項は、前回答申からの検討期間中に措置された事項も含め331項目にのぼり、前回答申に比べ39項目増加した。かねてから規制改革を要請してきたオンライン診療は、指針改訂によりコロナ特例の恒久化に目途がついたことを踏まえ、対面診療より厳しい規制を見直すことでさらなる推進を図る。

再エネ等規制等総点検タスクフォースやデジタル臨調における取り組みとともに、政府が近く閣議決定する「規制改革実施計画」に反映する。

今回の答申は、岸田政権がめざす「人への投資」と「経済成長」が柱。手続様式の標準化など分野横断的な取り組みに加え、①医療・介護・感染症対策②スタートアップ・イノベーション③「人」への投資④地域産業活性化⑤デジタル基盤─の5つの重点分野にわたり規制改革項目を取りまとめた。

このうち医療・介護・感染症対策は、デジタル化の遅れをはじめとする新型コロナウイルスの感染拡大により露呈した課題に関する項目が中心となった。

医療DXの基盤整備(在宅での医療や健康管理の充実)などの観点から盛り込まれた「オンライン診療・服薬指導」の項目は、前回の「普及」から「更なる推進」へと書きぶりが前進した。

規制改革推進会議が求めてきた新型コロナウイルス感染症に係る特例措置の恒久化は、4年1月のオンライン診療指針の改訂により措置されたことを踏まえ、対面診療に比べ厳格な規制の見直しを求めた。本人確認やセキュリティについては、4年に検討し、結論を得るよう年限を設定した。オンライン診療がデジタルデバイスに明るくない高齢者なども利用しやすいよう、通所介護事業所や公民館など補助者の援助を受けられる環境での受診に向け、受診場所、条件について引き続き検討し、4年度に結論を得るよう求めた。

オンライン服薬指導については、医療用医薬品で実施可能なことを踏まえて、4年度に実施不可とされている医療用から移行して間もない一般用医薬品(スイッチOTC)をはじめとする要指導医薬品における課題を整理することとした。

5年1月から運用開始する電子処方箋も医療DXの取り組みにあたる。運用開始にあわせて整備予定としている処方・調剤情報の管理システムへの登録数について、5年度当初の数値目標を4年度上期に設定し、以降毎年度更新するとともに、毎年度の電子処方箋発行数を公表することも記載した。

社会保険診療報酬支払基金等における審査・支払業務の円滑化は3年12月の中間まとめ同様、オンライン請求を実施していない医療機関等の実態調査を行い、その結果を踏まえて、実施割合を100%に近付けるためのロードマップを4年度末を目途に作成する。柔道整復療養費は、▽公的な関与の下に請求・審査・支払が行われる仕組み▽オンライン請求の導入─について検討し、4年度上期に結論を得ることとした。

牧島かれん規制改革担当相は会議の冒頭あいさつで、「医療・介護分野は患者、利用者本位だ」と繰り返し発言したと振り返るとともに、それを基本に規制改革を進めるとの精神を多くの委員と共有したと言及。規制が残っていた1年前と比べた実施件数が、事業者によってはオンライン診療で12倍、オンライン服薬指導で9倍にまで増加したと、規制改革の成果を強調した。

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