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健保ニュース 2022年6月中旬号

政府が「骨太方針2022」原案
かかりつけ医機能発揮へ制度整備
保険証の選択制導入など明記

政府は5月31日の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)に、「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」の原案を示した。与党との調整を経て、近く閣議決定する。令和5年度予算編成に向けては、4年度から6年度まで歳出改革努力を継続する方針にもとづき、経済・財政一体改革を着実に推進。社会保障改革は、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行い、機能分化と連携を一層重視した国民目線での医療提供体制改革を進める。他方、保険者による保険証発行の選択制導入や、オンライン資格確認の導入状況を踏まえた保険証の原則廃止をめざす方針を明示した。

「骨太方針2022」の原案は、強固で持続可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取り組み方針を示し、短期と中長期の整合性を確保した経済財政運営と令和5年度予算編成の考え方を提示した。

5年度予算は、4年度から6年度までの3年間、歳出改革努力を継続することとした「骨太方針2021」にもとづき、経済・財政一体改革を着実に推進する。

持続可能な社会保障制度の構築に向けては、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの構造を見直し、能力に応じ皆が支え合うことを基本としながら、それぞれの人生のステージで必要な保障をバランスよく確保すると明記。

そのうえで、後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引き上げを含む保険料負担など各保険制度における負担能力に応じた負担のあり方について総合的な検討を進めるとした。

勤労者皆保険は、被用者保険の適用拡大の着実な実施や企業規模要件の撤廃・非適用業種の見直しなどを検討し、実現を図る。

今後の医療ニーズや人口動態の変化、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえ、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築。かかりつけ医機能が発揮される制度整備や地域医療構想の推進など、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制の国民目線での改革を進めるとした。基盤強化に向けて、医療費適正化計画のあり方も見直す。

高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる2040年頃を視野に入れつつ、新型コロナ禍で顕在化した課題を含め、2023年、2024年を見据えた短期的課題および中長期的課題を政府の「全世代型社会保障構築会議」で整理し、中長期的な改革事項を工程化したうえで政府全体として取り組みを進める方針を明示した。

社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進に向けては、オンライン資格確認について、医療機関・薬局に令和5年4月からの導入を原則として義務付けるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、診療報酬上の加算による支援措置を中医協で検討する。

さらに、6年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入や、オンライン資格確認の導入状況を踏まえた保険証の原則廃止をめざす方針を盛り込んだ。

他方、▽全国医療情報プラットフォームの創設▽電子カルテ情報の標準化等▽診療報酬改定DX─の取り組みを行政と関係業界が一丸となって進めるため、総理を本部長とし関係閣僚で構成される「医療DX推進本部(仮称)」の設置を明記。

このうち、「診療報酬改定DX」は、デジタル時代に対応した診療報酬や、その改定に関する作業を大幅に効率化することにより、医療保険制度全体の運営コスト削減につなげる。

経営実態の透明化の観点からは、医療法人等の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備するとともに、処遇改善を進めるに際して費用の「見える化」などの促進策を講じることとした。

良質な医療を効率的に提供する体制整備の観点から、4年度診療報酬改定で措置された取り組みの検証を行うとともに、周知・広報の推進とあわせた「リフィル処方箋」の普及・定着のための仕組みの整備を実現すると強調。

生涯を通じた歯科健診、いわゆる「国民皆歯科健診」の具体的な検討や、市場価格に左右されない歯科用材料の導入も盛り込んだ。

少子化対策では、出産育児一時金の増額をはじめ、経済的負担の軽減について議論を進める。必要な安定財源の確保にあたっては、企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で広く負担していく新たな枠組みを検討する方針を示した。

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